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あれからその娘-アイリン-はナースと話すことが増えた。
Yes、No以外の質問も増え少しづつではあるが口数も増えてきた。
日常的な会話も特に問題ない。
きっと元々は普通の女の子であったことは間違いない。
アイリンが初めて笑顔を見せた日はナースが全員脱水症状になりかけるほど涙を流した。
逆にそれにびっくりした彼女も泣いてしまってナースたちはマルコに小言を頂いたのも良き思い出である。
「それでね、その時のアイリンがまぁ可愛くて♡私たちのこと気にかけてくれるようになって！本当に優しいのよあの子は！」
「その話もう30回目だよい。順調に回復してんならよかったよい」
「30回でも40回でも50回でも聞きなさいよ！あの子をドレイにしてたなんてほんっと許せないわ！！天竜人、私がぶん殴ってやりたいわ！」
「お前が殺されて終いだよい」
早くアイリンにご飯持って言ってあげなくちゃー♡と食堂に駆けていく若いナースに呆れながらも少しだけマルコは安堵した。
最早ナースをメロメロにしてしまったアイリン。だがまだ壁はいくつもある。その大きなひとつが男であった。
未だ彼女はナースの部屋からは1歩も出ていない。関わりもナースだけで男の話も全くしていないという。
距離を縮めるといってもいきなりナースの部屋に男が入っていったらそれこそ警戒されて終わりだ。何かいい方法は無いものか…
自室でぼーっとそんなことを考えているとダダダダダと誰かの足音がこっちに近づいてくる。
「マルコッ！！」
「うぉ！？ナース長か、ノックくらいしろよい。何の用だ？」
「隊長全員集めなッ！今すぐッ！！」
「………は？」
そりゃなんで、と言い返す間もなくナース長はまたダダダダダと足音を立てて走り去っていった。
一体なんの騒ぎだ、と思いつつ隊長たちを部屋に集める。
全員が一体何の用だと聞いてくるがそんなもの俺が聞きたい。
状況に頭をひねりながら話しているとナース長が待たせたわね、と部屋に入っていた。
「おい、ナース長。急に全員集めろなんて一体何の用なんだよい」
ナース長は満足気にニヤリと笑うとビシッと俺たちを指さしてこう言った。
「あんたたちそこに並びな！！
写真を撮る！」
「「「「……………はぁ？？？」」」」
さらに意味のわからないことを言い始めたナース長にもっと頭をひねることになる隊長たちであった。
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月12日 8時
