運命の炎の糸-3-【白ひげ海賊団】 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:37 hit、合計:29,990 hit

=10= ページ21

事の発端は数時間前。

『シャロンさん。この船の船長さんてどんな人？』

カラン

あまりの衝撃にバインダーを手元から落とすシャロン。

つ、遂にアイリンがこの船に、男に興味を持つなんて。

『大丈夫…？』

「え、えぇ。ちょっとビックリしただけよ。

そうね。親父さんは世界最強と呼ばれる男よ。

かつて海賊王と呼ばれた男と張り合える強さもあなたがいた島のように政府からも見放された島や人々を守る慈悲深さも持ち合わせた素敵な人よ」

『…船長のことを親父と呼ぶの？』

「えぇ。親父さんは私たちのことを家族と思って接してくれるから。私たちもその愛をもらって親父、と呼ぶの。

うちは海賊団というよりもとっても大きな大家族と言った方が合ってるかもしれないわね」

『…そう、なんだ…じゃあ、私を助けてくれた船医さんはどんな人…？』

カチャン

今度は飲みかけのコーヒーカップを手から滑らしそうになる。かろうじてソーサーで大惨事は防いだが危うくベッドにぶちまけてしまう所だった。

『…ねェ、やっぱり大丈夫？？』

「問題ないわ。今日はうちの人について聞きたがるのね。何かあったの？」

『…私が男の人を怖がるから、ずっとここに置いてくれてるんでしょう？でも、逃げてばっか居られないから。

みんなの仲間の人たちを私も知っていこうと思って』

「……あんたホント強い子だねェ。

マルコの事だったわね。彼はとっても優秀よ、怪我も病気も薬学も。1番隊隊長って肩書きだけど実質うちの副船長みたいな立場ね。うちの無法者共をまとめあげてる苦労人よ。

あと、とっても珍しい能力者なの」

『能力…？』

「あなたも持ってるでしょう？」

『うん、私自身よくわかってないけど…』

「そう。もしあなたがいつか彼と話したいと思うなら、聞いてみるといいわ。私よりずっと詳しいはずよ」

『うん』

男の話も怖がらずにできるようになった。これはかなり大きな進歩と言えるだろう。

『…ねぇ、シャロンさん』

「何？」

『写真とかってある…？この船の人の』

「しゃ、写真……」

写真と言えば手配書くらいしか…と引き出しを漁ってみたが懸賞金がしばらく変わらなすぎて、ろくな写真は1枚もなかった。

○

「というわけで撮るわよ！！はい、チーズ！！」

「待て待て待て！早ェくそばばあ！」

「誰がくそばばあだって！？」

何事だ？とその日クルーたちは謎の撮影会を首を傾げていた。