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あれからさらに1週間
シャロンを始めとするナースさんたちは常に誰かひとりは私のそばにいる。
「だいぶ顔色良くなったわね！もう点滴じゃなくてご飯食べてもいい頃ね。アレルギーとかある？」
ナースさんたちはYesかNoで答えられる質問しかしてこない。
今回も首を振ると分かったわ、とニコニコ笑った。
「まぁ最初は具の無いお粥みたいなものからだろうけど、このまま回復すれば美味しいものも食べられるようになるわ。もう少し頑張りましょうね」
底抜けに優しく、明るいナースさんたちに私はもう心を絆されていた。きっとこれが嘘であろうものなら私は発狂して死んでしまうだろう。
でもどうして見ず知らずの私のためにここまでしてくれるんだろう。
その疑問だけは、いくら考えても答えが出なかった。
その日の夜。
言われていた通りほぼ飲み物のようなご飯を食べた。
でもあんなにあったかいご飯を口に入れたのは本当に久しぶりでまた泣いてしまって周りのナースさんを困らせてしまった。
完食するとナースさんは私よりも嬉しそうな顔でお粗末さま！と言って食器を下げてくれた。
「入るわよ」
就寝時間が近づくとナースさんたちはこの部屋に戻ってくる。元々この部屋はナースさんたちの部屋だから当たり前なんだけど。私が少しでも休まるようにと昼間は数人しかここにいないし、近づきすぎず離れすぎない距離で接してくれる。
私のベッドを囲むカーテンを少し開けて入ってきたのはシャロンだった。
朝昼晩の3回、体温や血圧の測定をしてくれる。
「うん、安定してるわね。問題ないわ」
さらさらと、バインダーにペンを走らすシャロン。
眉を下げ安心したような表情を見て心がキュッとなった。
『………シャ、ロン……さん……』
「！？」
『………あり、がと……』
「ッ………なぁに言ってんの、なんてことないわよ。
さ、今日はもう寝なさい。おやすみ」
『……おや、すみ…』
カーテンの奥に消えていったシャロンを見送ると自然とまぶたが降りてきてすぐに私は眠りについた。
カーテンの奥でナースたちが号泣していたということを私は何も知らない。
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月12日 8時
