運命の炎の糸-3-【白ひげ海賊団】 (ページ18)

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ここは、一体どこだろう。

あの男を倒した大男のアジトかなにかか。

あの時は神か仏かそんなふうに思ったけどあいつは海賊だと言っていた。今度はあの大男が“飼い主”ということか。

ガチャとドアが開くと特徴的な髪型のさっきの男。

だが男は部屋に入ってくることはなく、代わりにナース服の女が5人程ぞろぞろと入ってきた。

何…今度は女の人に使われるの…？
男よりマシかもしれないけど何されるかわかんない。

流れるように担架が部屋に運び込まれ、移し変えられる。

何度もかけられる大丈夫、という優しい声すら不安を煽るだけで、私はバタバタと手足を無闇矢鱈に振り回していた。

だが体力もあまりなくすぐに抑え込まれてごめんね、と拘束具を付けられ、別の部屋に移動させられた。

「手荒な真似してごめんなさいね。でも、貴方の身体のためでもあるのよ。今外すわね」

部屋に着くと体を押えられていたそれは外され体の自由が戻る。もう一度柔らかいベッドにせーのと移動させられあっという間にふりだしの状況に戻った。

「少し、お話できるかしら？」

昨日から私に声をかけ続けている人だ。彼女は決して若いとは言えない見た目だが、どこか記憶のない母親を彷彿させるような優しい声でさっきまで私を包み込む。

控えめに頷くとほっと息をついてありがとう、と一言。他のナースを外へやるとベッド脇の椅子に腰かけた。

「急に知らない場所で知らない人に囲まれたら混乱するわよねぇ。ごめんなさいね。

あたしはシャロン。しばらくあなたの面倒を見させてもらうわ。急に言われてもって思うかもしれないけどよろしくね」

状況をよく呑み込めない私に対して彼女は状況を説明してくれた。

まずここは白ひげ海賊団の船だということ。

私を“飼って”いた男は船長さんに倒されたこと。

気を失った私を船医さんが看病してくれたこと。

とにかくこの船はドレイ船でもなければ、人買いもしない、私を傷つける人は居ないということを何回も説明してくれた。

つまり、本当に助かった…？

でも分からない、だってこの船は海賊船。昔私を“飼ってた”人達と同じ、海賊。

「すぐに信用して貰えるとは思ってないわ。少しづつ、あなたが心の傷を癒せるように私たちも力を尽くす。よろしくね」

信用なんて、出来ないのに。

嘘かもしれない、言葉なのに。

涙がひたすら止まらなかった。

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ナース長の名前は勝手につけちゃいました。