運命の炎の糸-3-【白ひげ海賊団】 (ページ12)

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これは今から7年前の話である。

私が16歳でまだドレイだった頃の話だ。

一口にドレイといっても“飼い主”の趣味嗜好によってはその使われ方は様々だ。

ある所では汚い欲望のはけ口にされ、
ある所ではストレス発散のサンドバック代わりにされ、
ある所ではしたくもない殺しをさせられ、
ある所では使用人のようにこき使われた。

売られ、売られ、逃げ、また捕まって、売られる。

その度味の違う地獄が私を待っていた。

私が一体そんなに悪いことをしたのだろうか、神様とやら。

別に高望みはしないから、裕福な生活なんて求めてないから、あのガラクタの山に帰してください。もう一度生意気なあの弟たちに、嫌われ者の山賊たちに会わせて下さい。

それが叶うならもう命でも何でも持って行ってくれて構わないから。

人攫いに遭ったのが13のとき。
つまり歴としては3年になる。何度もこの世から逃げ去りたいと考えたが、その度頭をよぎったのはあの小汚い山小屋のみんなの姿だった。

今度の地獄は労働だった。

ここにきて何日経ったのか、もう何ヶ月経ったのか数えてないから分からないけど飯も水も睡眠もろくに与えられずに力仕事に従事させられる。

精神的には幾分か楽かと思ったが肉体的な疲労と精神的な疲労は直結する。

もう明日の陽も拝めるか分からないほど、言葉通り死にそうだった。

「嬢ちゃん、せっかく綺麗な顔してんのにこんなとこに流れ着いちまったのか…勿体ねェなァ…

来世はきっといい人に出会えることを期待するんだな」

同じドレイ仲間のおじさんが声をかけてくる。
返事をする気力もないしもとより返事を期待しているようでもなかったので聞き流した。

来世なんてそんな不確定なものに縋るほどここにいる連中は全員希望を捨てている。

縋ったところで現状は変わらないというのに。

目が覚めた時その来世とやらにいて、みんなと会えたらいいのに。

そんな幸せな絵空事を夢見ながら倒れるように意識を手放した。