【ハイキュー】愛しいあの子に狂いたい！！【逆ハー】

アドラーズとあの子 3 ページ10

「A、用は何」

Aとアドラーズの歓談を遮るように、佐久早は強い語気でAに尋ねた。
するとAも自身の役割を思い出したようで少し申し訳なさそうな顔をする。

Aは顔に出やすいな。かわいい。と佐久早は密かに思った。
(佐久早はAのどんなところでも愛しい、かわいい、と思う程度にはAに対し盲目である)

『すいません…、すっかり飛雄達との久し振りのお喋りに夢中に…。MSBYの選手方、明暗主将がそろそろウォームアップをするのでコートに集まってほしいとのことです』

「えっ、もうそんな時間！！？早く行こ！！」
「俺達もだいぶお喋りに夢中になってもうたなぁ…」
はは、と自嘲するように笑う侑の横で牛島は壁に掛かった時計を確認する。

「…、俺達も時間だ。行くぞ」
「アッス」
影山の短い返事の後、星海は日向を指差し声高々に宣言した。
「日向翔陽！試合中ドシャットかましてやるから覚悟しとけよ！」
「ウッス！負けません！！」

最後に挑戦的な視線を向けその場を立ち去るアドラーズ3人の背中を見送る。
Aはチラリと日向を伺うと、彼はこれからの試合に興奮が抑えきれないようだった。

「俺達も早く行こうぜ！」
「うるさい。そもそも木兎が日向と話してる若利君達に絡まなければここまで時間食うことも無かった」
「あれー！おみおみ不機嫌！？腹痛い！！？」
「不機嫌じゃない。痛くもない」

木兎の質問攻めを無視して1人早歩きをする佐久早の後をA達もついていく。

『佐久早さん、どうかしました？身体的な不調だったらケアできるんですけど…』

佐久早の様子を不思議に思ったAは隣を歩く侑にコソッと尋ねた。すると彼は何処かおかしそうに笑う。

「ん〜、あれは内面的な事やからAちゃんは治せへんよ。あ、いや、Aちゃんだからこそ治せへんことも無いのか？いやいやそれは俺的にアカンわ」

あれは臣くんの子供じみた独占欲だから、と侑だからこそわかった答えを彼は自身の心の中に閉じ込めた。Aにとっては掴み所の無い解答で彼女はさらに首を傾げる。

「まぁ、試合始まって、Aちゃんが応援してくれたら臣くんも絶好調に戻るんちゃうかな。あ、俺もAちゃんに応援されたら絶好調になれるから応援してな！」

おどけたようにそう言う侑にAは快活に答える。

『はい。私はMSBYのサポートメンバーですからね！』

その返事に侑は、まぁ今んとこはそれでえぇよ、と目を細めた。

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