【ハイキュー】愛しいあの子に狂いたい！！【逆ハー】

アドラーズとあの子 2 ページ9

手洗い場に到着するまでも万が一があるかもしれない。
Aは慎重にあたりを観察し、同時に考えを巡らせた。

くそぅ…、主将の手前あぁは言ったもののもう少し備品の整理はしたかった…！
出来なかったのは翔陽達が何処かで油売ってるからだ…！！

Aは少しの鬱憤を晴らすように声を張り上げた。

『迷子の迷子の翔陽く〜ん！身長164cmの日向翔陽く〜ん！』

すると曲がり角の奥、手洗い場がある辺りから反論する声とそれに伴う騒ぎ声が聞こえた。

「俺今172cmなんだけど！！」
「勝った！！」
「星海さん、やっぱそれ言いたいだけですよね」
「うるせぇ！」

やっぱり翔陽は手洗い場にいたか…、しかも声からしてアドラーズの星海くんもいる。本当、翔陽にとって手洗い場は何かしらのイベントが起こる場所なんだなぁ…。としみじみ思いながらAは曲がり角を進む。そして、自分の目先に広がる光景に一瞬息を飲んだ。

自分を見つめる7人の目。
こんなところで妖怪世代大集合って。

揃い踏みの様子にAは気圧される。
全員とは顔見知りであり、ある程度仲も良いと自負はしているが、彼らは皆日本の頂点で戦うプロのバレーボール選手達。その迫力にAは思わず息を飲んだ。

「A、久し振りだな」

影山がAに近づく。その声にAは意識を引き戻す。

『うん。飛雄、久し振り』

影山から差し出された手を握り返し、握手を交わす。

中学の頃からの友人である2人は互いの厄介さを人一倍知っている。
負けねぇからな。こっちこそ負けないよ。と2人は視線を交わせニヤリと笑い合った。

「おい！A！俺もいるからな！！」
そんな2人の間に自らを主張するように割って入るのはアドラーズの小さな巨人、星海光来。
彼に名前を呼ばれたAは背筋を伸ばし星海の方を見た。

『はい、今日はよろしくお願いしますね。牛島さんも、よろしくお願いします』

星海と、その後ろで堂々たる佇まいで立っている牛島に。Aはぺこりと頭を下げる。

「おう！よろしくな！」
「此方こそよろしく頼む」

2人のそれぞれの返答にAは嬉しそうに笑う。
『星海さん、また大きくなったんじゃ無いですか？』
「ふっふっふ！わかるかA！」
『これは更に警戒しないといけないですね…！牛島さんも以前よりサーブのパワーが…』

先程、立ちすくんでいたのは何だったのか。Aが楽しそうにアドラーズ達と会話をする様子を佐久早は不満そうに、じっ、と見つめた。

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