奔放ディテクティブ ページ5
○数日後。
『トレイ、大丈夫?』
「見た目ほど痛くはないよ。」
「こんなことして何になるというんじゃろうか。」
保健室で横たわっているトレイの足には包帯がぐるぐると巻かれていた。トレイが階段から落ちた、のと報告を受けた私とリリアはすぐに保健室に直行し今に至る。
「そろそろマジフト大会の時期じゃからのう。
トレイとリドルも選手として出る予定じゃったのだろう?」
『何それ。計画的犯行ってこと?』
「まあ、おおかたそうじゃろうな。有力選手から順に潰しに行ってるのがよくわかる。」
『ありえな。』
ぼぞっと呟けばしんと静まる部屋。イグニハイド生が被害に逢いにくいのも納得だ。
「Aは今年は出るのか?」
『一応出る予定だけど…』
「気をつけておくんじゃぞ。一人になった時に狙われるケースが多いと聞くからのう。」
私が出る理由は単純で、押し付けられたのもあるが、寮内で飛行術が得意であるからだろう。
『そう…だね。』
自分の無力さを痛感した日だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『━━━━━あ、』
1人で長い廊下を歩いていれば、見慣れた姿があった。腕の腕章が唯一着いていない生徒。ユウちゃんだ。
パタパタとかけよれば、あっちも気がついたのか「先輩!」と手を振ってくれる。隣にはつい先日あった2人もいてよく行動を共にしているのだと改めて感じた。
「あっ……とぉ、イグニハイドの……」
「た、確か副寮長さんッスよね?」
2人は名前が思い出せないのかうーんと頭を捻っていればユウちゃんが「Aさん、ね?」と横で圧をかけていた。あながち間違いではないから別に、イグニハイドの副寮長でもいいのだが……
「そうっ、A先輩っ!」
まるで自分が思い出したかのような言いぶりをするトラッポラ君に少し笑ってしまった。
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作者名:糸目 | 作成日時:2024年2月15日 11時