異世界から来た先輩。【ツイステ】 (ページ2)

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『まあまあ、そんな堅苦しくしないでさ。』

そういいながら紅茶を入れてくれるAさんを横目にソファーに腰を掛ける。ふかふかで座り心地が良い。

『よいしょっと…

軽く自己紹介をするよ。

名前はA。学年は三年生だけど17歳でイグニハイド寮の副寮長だよ。クラスは3のEね。この世界に来て三年目かな。』

「ぼ、くはユウです。えっと、今はオンボロ寮に住まわせもらってて、クラスは1のA…グリムと一緒に住んでます。」

『ん、ありがとう。

単刀直入に聞くね。ユウちゃんはどこまで記憶を持ってる？』

ついさっきの優しそうな表情から一変して真剣な顔つきになるAさん。

「記憶…というと？」

『住んでたのは日本。どこの学校に通ってたかとか、フルネームとか。』

『このパソコンは唯一、日本と繋がる。』

そういって見せてきたのはリンゴのマークが特徴的なノートパソコン。どこかで見たことがある気がするが、会社名が思い出せない。
こんなことばっかだ。

「ほ…とんど思い出せないです。ファミリーネームも、学校も。

霧がかかったように、思い出せないです。」

『そっか。わかったりょーかい。起きた時の服とかは？制服だったらどこの学校か特定できそうだけど…』

「パーカーとジーパンでした。」

『そっか、了解。最近日本で失踪事件が多発してるらしくってね。

かくゆう私もその一人らしいんだけどね。』

苦笑いをしながらパソコンをいじるAさんは様になる。ハイっと言われて向けられた画面を見れば日本語の記事が開かれていた。

「…失踪…」

記事の内容を要約すればどうやら跡形もなく消えてしまうようだ。年代的には私たちと同じ高校生が対象らしく警察も頑張って捜索しているらしい。

『で、私は日本へ帰る方法を探してるの。どうか、手伝ってくれない？』

「もちろんです！」

自分でもおどろくような声が出た。けれどこれは本心であった。

「魔法も使えないけど…お役に立てるよう頑張ります！」

同じ境遇の先輩がいることにとても安心感を覚えた。

『そういってくれて助かる。私も魔法使えるようになったのは一年の終わりくらいだったから。』

優しく微笑む先輩に僕もつられて笑顔になった。