愛しい影。4

予感 ページ8

あなたside






あ「拓司さん、醤油お願いできる？」




今は二人で一緒にスーパーに買い出し中
昔からどこかへ買い物に行くときは重い荷物は持たせられない、という彼の意見で二人で行くようにしている



伊「わかった！いつも家にあるやつで大丈夫？」



大丈夫、と返事して私は野菜を選ぶ
全て選んでお会計を済ませ、商品を袋に入れて外に出る



買った荷物は拓司さんが持って、袋を持っていない方の手で私と手を繋ぐ
やっぱりこの瞬間はいつも照れてしまって。
無意識に拓司さんと顔を見合わせて笑う



その瞬間だった



カシャ、とシャッターが切られる音がした
一瞬、不吉な予感が身体中に走って心臓が鈍い音を立てたが、そんな不安はすぐ彼の笑顔にかき消された



そしてそんなことも忘れていた次の日の朝
私は家の電話音によって目を覚まさせられた



あ「はい、伊沢です」




？「伊沢さんのご自宅で間違いありませんか？」



詰め寄るようなその問い方に本能で不信感を感じた



あ「そうですが、何か用ですか」




？「おかしくないですか？」




あ「え？」




？「伊沢さん、一人暮らしで彼女の有無はあまりはっきりさせてませんでしたよね？」




あ「え、あ、あの、、、」




？「伊沢さんとはどういったご関係なんですか？正直に答えてください」




あ「すみません、失礼します」



頭が回らなくなって、怖くって
私は思わず電話を切った
少しこれで安心か、と思ったのに、すぐにまた電話音が鳴り響く



どうしようもなく怖くなった私は思わず電話線を抜いた




伊「なにしてんの？」



振り向くとそこには寝起きだからかあまり焦点が合っていない、だけど私を真っ直ぐに見つめる拓司さんの目があった



あ「、っううん、なんでも！セールスの電話がうるさくて、ごめんなさい」




伊「、、、、そう」




少し不思議に思った
いつもの彼なら嘘だよね、何かあったでしょ
なんて言って半ば無理やりにでも私から理由を聞き出して解決策を考えてくれたはずだ
はぐらかす私にまったく気を止めなかったのは今回が初めてだった



そんなことを考えていると、拓司さんのスマホの着信音が聞こえてきた



あ「拓司さん、携帯鳴ってるよ」



伊「ん？まじか、ごめん、悪いんだけどスピーカーにしてここまで持ってきてくんない？」



そして私はクイズ番組の収録に向かう準備をしていた彼の元へと駆け寄った

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