＊ ページ13
「ねぇ、どんな人やったらAは好きになるん？」
「え、うーん。イケメンで……優しくて……時々かわいくて……？って感じの人ですかね？」
「ふうん」
我ながら理想が高いのは分かっているのだが、少しぐらい夢見たっていいんじゃなかろうか。ほら、私まだ16だから。
俯きながら少し考えていた様子の坂田さんはちらり、横目で私を見た。
「俺、イケメンやと思う？」
「え」
「人間のAから見て、どう？」
「ど、どうって」
そんなの当然かっこいいに決まっている。
のだが、まあ咄嗟に答えることが出来るわけもなく。思いがけない言葉にどきまぎしてしまう。
「俺ら天使ってみんな同じような感じやから、人間から見たらどんななのか、カンカクわからへんねん」
やっぱり彼らにはこちらで言う「イケメン」という基準がないのだろう。
純粋に自分がどう思われているかを聞いているのだこのひとは。
なんだか「天使」というだけでこのような変な発言にも妙に納得してしまった。
「坂田さんは……かっこいい。イケメンですよ。かわいい感じの。まああくまで私の意見ですけど……」
面と向かってこんなことを言うのが恥ずかしくて、後ろによく分からない言い訳をごにょごにょと付け足す。
「……まじ？」
「まじまじ」
「じゃあ、さ」
逸らし気味だった視線をばっちり合わせ、私の頬に手を当てる。
温かくもなく、冷たくもない空気のような何かが私に触れた。
彼の持つ赤い瞳にすっかり見入ってしまった私は、目を逸らすことが出来なくて。
その真剣な眼差しを向けたままで口を開く。
「俺がもっとAに優しくしたら、Aは俺のコト好きになってくれる……？」
「さ、坂田さ……」
ゆっくり、ゆっくりと顔が近づく。
初めての空気に、心臓がどくんどくんと音を立てた。
その心音だけがうるさく私の体中に響き渡る。
近い。あと、数センチ。
「……なーんてな！」
ぱ、と手を広げ、体を後ろに倒した坂田さんはあっけんからんとした顔で笑っていた。
「ジョーダンやで。A。次行こか」
「え、は、はい」
坂田さんは勝手に1人で立ち上がり、校舎の中へと向かってしまった。
意外と早いその足を追いかけるために少し駆け出す。
突然の出来事に頭がいっぱいで、まともに怒ることさえできなかった。
(なに、なにあれ)
冗談と彼は言っていたけど。
(やっぱりかわいいの、ずるい)
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いちたに(プロフ) - みりるさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますのでこれからまたよろしくお願いします！(TT) (2020年4月9日 18時) (
レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます！ただ今更新しましたすみません(TT) (2020年4月9日 18時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
みりる(プロフ) - 終わりになっているのですが、ここで終わっちゃうんですか？ (2019年11月6日 17時) (レス) id: 55c9b6283e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2019年9月6日 0時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
色彩-shiki-(プロフ) - コメ返ありがとうございます！もう十分さかたんの可愛さ詰まってると思います！ (2019年7月16日 2時) (レス) id: 5b3e23066c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちたに | 作者ホームページ：
作成日時：2019年3月11日 22時
