* ページ21
まだ手をつけていなかったもう1つのおかずに手を伸ばす。
黄色い。白い部分がとても少ない卵焼きだ。どうやったらこんなにふわふわに出来るのだろう…。と彼女の腕に感心しつつ、丸々ひときれを一気に食べる。
「!!これ…」
「どうですか」
そう聞いてくる彼女は昨日までと少し違って、心無しか楽しそうだ。自分の感想がそんなに面白いものなのだろうかと不思議に思いつつも、感じたことを正直に言う。
「甘くないんですね…すごく、好きな味です」
「ふふ、それは何よりです」
彼女から作られる卵焼きだ。すっかり甘いものだと思い込んでいたのだが、これはしょっぱい。もちろん丁度いい塩加減だ。
「折原さんの家では甘い卵焼きでしたか?」
「はい、そうですね」
「甘いのを作る時はお砂糖を入れて作るんですけど、これにはお砂糖入れてないんです。出汁を使いました!つまりだし巻き卵です」
「ああーっなるほど、どうりで…」
話をしっかり聞きつつ、箸を卵焼きとご飯と口の間を往復させる。
食べる機会が多かったのが甘いものだっただけであって、正直自分の舌にはこのだし巻きの方がよっぽど合うようだった。
ほんのりとだしの風味が広がる感覚が楽しい。
「…あの」
にこにこしながら自分を見ていた彼女がまた声を上げる。
「間違っていたらすみません、折原さんってもしかして京都の方ですか?」
「は、はいそうです。方言出もうてましたか…あっ」
言っているそばからまた訛りが出る。ずっと敬語を使っていて疲れでもしたのだろうか、気が緩んでしまっているようだった。
「方言は全然いいんですむしろかわ…」
「かわ?」
「…ってていいと思います個性ですよね!!私もたまに大阪弁出ますし!!」
何かを誤魔化しているような気がするが、あからさまに慌てふためいている彼女を見てこれ以上詮索はしないことにした。
感情が素直に顔に出過ぎているのは彼女の性格からなのか。…少し面白い。
1359人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことみ(プロフ) - いちたにさん» もちろんっ! 素敵なお話、お待ちしております♪ (2019年7月29日 3時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ことみさん» お気遣いありがとうございます、ゆっくりではありますが書いておりますのでもう少し更新を待っていただけると幸いです (2019年7月29日 3時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - いちたにさん» あらまぁ。。。更新が止まっていて、それでいて本人がいるなら更新停止状態にしたほうがよいと思います。なんか上から目線ですみません(>_<) (2019年7月29日 1時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ことみさん» すみません!更新が止まっているだけで終わりではないです(汗) (2019年7月29日 1時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんで、終わりになってるんでしょう。。。? わざと、です?まぁなんにせよ、更新楽しみにしてますね♪ (2019年7月28日 3時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いちたに | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月9日 20時