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20.縹渺【アペルピスィア・ツィオーネ/茶々(ピンク)】 ページ20

辺りがコミュニケーション能力お化け達の話し声で満たされ、同時に寮の方へと人の波が進み始める。

−−いけない。こうしてしゃがんでいるままでは確実に目立つ。

周りが確実に話し相手(ともだち)を作っていく中で誰にも話しかけず、話しかけられず、自分は空気だ二酸化炭素だと心の中で唱えながら僕は前の人に着いて行った。

***

「はぁ〜〜、つっかれたぁ……。」

個室に備えられたベッドに飛び込み……たい気持ちを抑え、僕は上着を脱ぎハンガーにかけた。堅苦しい格好は昔から好きじゃない。毎日毎日重い正装を着せられるのは実に非合理的だ。

「……ゲーム−−」

いやいや、まだ駄目。

かぶりを振ってシャツの釦をひとつずつ外していく。ゲームはお風呂に入って、やる事をやってから、と念じながら。

……寝間着の棚に何が入っているのか確認しないまま。

***

「……嘘でしょ……?」

棚にあった寝間着は勿論僕の物だった。
其れはもう何度も確認したから間違いない。どうか間違いであってくれと願いつつ封を見ればきっちり僕の名が書いてあった。

用意されていたのは、黒色をした膝下丈のネグリジェだった。腰元がリボンで結べるようになっていて、袖はふわりと広がったビショップスリーブ。膝辺りの裾は薄い生地で透けている。

襟が丸くないことと淡い色じゃないことが救いか。フリルこそないものの 貴族令嬢が着ていそうなドレスのようなシルエットは、僕に用意されていなければレディースだと勘違っていただろう。

一緒に包んで置いてあった防寒役なんて全然果たせなさそうなうっすいフード付きケープを見つけたので、其れも羽織ってフードを被る。ふと鏡を見たら魔女みたいだ。……まあいいか。

鞄から携帯用ゲーム機を取り出して起動しながら共有スペースに向かう。

「−−男子もちゃんと、男子会するんだよ!」

何だかまた絶望的な言葉があの女生徒から飛び出て来た。男子会って何だよ。何するんだよ。

端っこの適当な椅子に座り、ゆっくりとカセットをゲーム機に挿した。

「あ」

そして ゲームが起動して初めて、そういえば此処で女子会やるんだっけと思い出したのだった。

21.妙案【シモン・テラー/41】→←19,女子会【リリィ・アイリス/響@雫3318】



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白花桜 - 更新しましたー (2020年6月7日 21時) (レス) id: 2fb229e0ec (このIDを非表示/違反報告)
白花桜 - 更新しまーす (2020年6月7日 20時) (レス) id: 2fb229e0ec (このIDを非表示/違反報告)
茶々(ピンク)(プロフ) - 更新しました! (2020年6月6日 14時) (レス) id: 52271b36b8 (このIDを非表示/違反報告)
茶々(ピンク)(プロフ) - 更新します……! (2020年6月6日 14時) (レス) id: 52271b36b8 (このIDを非表示/違反報告)
時計(プロフ) - 更新しました! (2020年6月6日 14時) (レス) id: 242ac85fef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:響@雫3318 x他6人 | 作者ホームページ:無い。  
作成日時:2020年5月25日 12時

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