【リレー小説】希望と絶望、人類の【第1頁】 (ページ12)

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12.とりあえず移動しようかと【シモン・テラー/41】ページ12

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　――“異端の人間”。その言葉が聞こえたとき、思わず体が反応してしまった。自分以外の異端の人間を見るのは初めてだった。無論、まさか異端だと自分から言う奴なんか存在しないと思っていた。どよめきが聞こえてくる。自分に投げられているわけではないのに周りの目が怖かった。好奇・畏怖・軽蔑…それらが一斉に少女――リリィ・アイリスに降りかかる。だが、彼女はものともせずに話し続ける。

『じゃあ、私からもお祝いの品を！眠い人の目覚ましにもなるからね！』

　その言葉と共に放たれたのは花火のように美しく形取られた稲妻と、天使の羽のようにリリィ・アイリスの背中に浮かぶ水。思わず息を飲んだ。そんな能力の使い方があるのかと。人を傷つけずに、こうやって魅せる能力の使い方を見るのは初めてだった。
　魅入っているうちに締めの挨拶も終わり、再び人類王にマイクが戻る。そんなこんなで入学式が終わり、これからの生活について詳しい説明をするために場所を移動することになった。

『それじゃあ皆さん、教室に行きましょう』

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「教室…？」

　配られた見取り図には教室なんて書かれていない。そういえば希望王が寮や食堂などが設備されているとは言っていたが教室などのことについては何も言っていなかった。自分が聞き逃していただけで、ちゃんと言及していたのだろうか。

「うーん、これは一体、どうすればいいのかな……」

　シモンは体育館を出てすぐの廊下で立ち往生するしかなかった。すぐそばで真っ先に吹き出していた少年と先ほどまで王族として挨拶をしていたリリィ・アイリスが何やら軽い言い争いをしていたが、さすがにその間に入って教室の場所を聞くわけにもいかないし…と、取り敢えず共有スペースの方へと向かうことにした。庭で詳しい話をするとは思えないし、十分な場所があるとしたら共有スペースくらいなものか。
　取りあえずそちらへと向かおうとした瞬間、黒いフードを被った少女に声を掛けられた。隣に緑のパーカーを着た少女がいるが、様子を見る限り姉妹なのだろうか。

「あ、あの……教室の場所って知りませんか？」

「あ、君も新入生かい？実は俺もそうでね…見取り図を何回も見直したけど教室なんてなさそうだし、とりあえず共有スペースに行こうかと思ってね。…もし良かったら君達も来るかい？」

　――仲間は多いほうがいい、なんて妙に場違いなことを思いながら返答する。するとよく似た顔の二人は顔を輝かせてこちらを見た。

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