7日目 ページ9
存分に笑い終えた少女は、賽銭箱に座り足をぷらぷらさせ俺を見ていた
笑い終えたと言っても、まだクスクス笑ってるけど…
いくら話すのが苦手な俺でも、ここまで笑われたら腹が立つわけで
「いつまで笑ってんの」
少女を軽く見て呟いた
「ごめんごめんっ」
やっとまともに話せる
……いや、何も話すことはないか
これ以上関わりたくないと思ったから立ち上がり、下りは楽そうな階段に足を進める
「あっ、待ってよ!」
けど、それは少女の手によって止まった
小さな手で俺の手を掴む
正直言って弱いから、簡単に振り払える
けど、俺はできなかった
______少女の手はとても、とても冷たかったから
人肌を感じさせないほど冷えた手。普通に熱い俺の手も、すぐに冷めていった
驚いて少女を見てしまう
「さっきも言ったけど、君ここの人?はじめて見た顔」
戸惑う俺に反し、少女はきょとんとした顔で訪ねてくる
その瞳はなんだか寂しそうで
光を浴びつつも、どこか暗いものを持つ少女の目が俺は逸らせなかった
俺はどうかしたのか、少女を見つめたまま話した
「違う……少しの間暮らすだけ。すぐいなくなるよ…」
女の子だからか、年下だからか
いつもの毒舌でもなく、卑屈なわけでもない
普通の俺として話せていた
「………そっか!」
少女の顔は少し暗い
が、すぐにパッと明るく俺を見て笑った
そのまま気まずい沈黙が流れる
どうしたらいいかわからない。こういうときずっと無言だったから
「とりあえず、えっと……その手話してくんない…?」
「あ、うん。ごめんね…」
少女がパッとして手を離す
すると段々俺の手に熱が帯びてきた
おいおい相手は少女だぞ?俺より下の女の子に照れてるのかクソ童貞
免疫ないからってわかりやすすぎだろ
俺は赤くなった顔を隠すようにして少女に背を向け、また階段の方へ早足へ歩いていった
鳥居をくぐり、さぁ下りようという時に少女が叫んだ
「私A!いつもこの場所にいるの!君はまた来てくれる?」
ビクッとして振り返れば、俺と似たように頬を染める少女。いや、______A
バカみたいに大きく手を振る彼女に俺は「ひひっ」となぜか笑って答えてやった
「君、じゃない……一松。松野一松。ここに来るかは、気が向いたらね…」
また背を向け、軽く手を振り階段を下りて松浦家へ戻った
「_____あの人なら、私を認めてくれるかな…」
夕暮れ時、少女はぽつり呟いた
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リオ(プロフ) - のんのんさん» ああああ、ありがとうございます!嬉しいです!感激です… (2018年9月25日 7時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - 涙がボロボロ出てしまいました。私的にはこの話の映画が出たらいいなと内心思いました。これからも頑張ってください! (2018年9月25日 0時) (レス) id: 4f4766f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - レミリアさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました! (2018年1月8日 8時) (レス) id: 4940cabbbd (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - このおはなしすごく面白かったです! (2018年1月7日 23時) (レス) id: 8e9961abf9 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - うむ(´-ω-`)ありがとう! (2017年10月16日 15時) (レス) id: ebaca7d72e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/
作成日時:2017年7月21日 17時