大倉くんのヒロインにはなれない。 (ページ13)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:97,217 hit

13.はじめまして(y) ページ13

.

階段をすごい勢いで駆け下りてきたその子は

泣いてた。

.

学年違うし、知らん子やったけど、
バイト先でまさかまた会った時は
泣いてなくてホッとした。

目は腫れてたけど。

.

大『横山くん。』

横『おお、どしたん？』

大倉は、俺らのバンドメンバーの内の一人で
よくご飯も一緒に行く。

大『さっき、Aちゃんのクラス来てたけど、』

横『？大倉も知り合いなん？』

大『知り合いってゆうか…、知り合い、やな。』

なんや、歯切り悪い言い方するなぁ？

安『俺、一花迎えに行かなあかんわ』

横『行ってらっしゃ〜い』

安『大倉、ちょっといい？』

大『……うん。』

最近あの二人も、なんかあったみたいな感じ。

俺は中立やから、2人ともの味方やけどな。

横『A、今帰り？』

「あ、横山先輩！今日よく会いますね(笑)」

下駄箱でたまたま遭遇。
ほんまやな、今日めっちゃ会うな〜なんて言いながら

横『…かえろか〜』

はい！って着いてきたA。

「横山先輩を知ったのは昨日なのに、」
「なんでかすごく落ち着くんですよね、わたし」

横『そうなん？』

悪い気する男おらんよな、こんなん言われて。

横『あ、なあ。』

「？はい」

横『大倉と知り合いなん？』

「えっ」

横『今日大倉が』

「横山先輩は、大倉くんと知り合いなんですか？」

横『うん、うちのバンドメンバーやねん』

「！そうなんですか！」

大倉くん、バンドやってるんだ！なんて目をキラキラさせるから、

横『もしかして、大倉のこと好き？』

そう聞いてしまった。

その質問に、Aは俺を見て涙を流した。

横『ごめん！泣かすつもりなくて、』

「すみませんっ。最近ちょっと目が痛くて」

横『大丈夫…？』

顔を覗き込むと、必死に涙をこらえるAがいて、

横『目が痛いなんて、嘘やん。』

「嘘でも目が痛いって思わせてくださいよ〜。っ」

Aも、なんか色々あるんやろうな。

横『何かあったら、いつでも聞くで。
…おれ先輩やし。』

はじましてが昨日でも今日でも関係ない。
なんかあるなら、頼ってほしいから