五十八話 ページ10
それから二人は墓地に着いた。
車を降りて、たくさんの墓石のある脇を通り、ひとつの墓石の前に立った。
「あなたの家族が眠っているところよ。
あなたのおじい様とお父様とお母様。
あなたは知らないでしょうけどあなたのお父様が亡くなった後、あなたのお母様を殺したのは私の親よ。
あなたのお母様はかなり強かったって言っていたわ。
それからあなたのお父様のお願いで一緒のお墓に埋めたの。
あなたのお母様、元々浮気性だったみたいだけど結局自分のところに戻ってきてくれるのが嬉しかったみたい。
周りも最初こそは別れるべきだとか色々言ってたみたいだけど、何言っても聞かなかったらしく、諦めたらしいのよ。
あ、あった。はいこれ、あなたのお父様があなたに残したもの。
私が思うに、あなたに足りないものは愛を与えてくれる人だと思うの。
まだ幼すぎた貴方を置いて去ってしまった両親、組長としての責務で忙しかったおじい様。
他の大人も構ってくれるわけでもなく、歳の近い仲のいい子なんて、家柄的に作れなかった。
そのままあなたは成長し、欠けた心を持ったまま大きくなった。
そりゃあ仕方ないわよね。
ちょっと読んでみたらどうかしら？
その間に花でも買ってくるわ。」
〜牛島若利 side〜
そう言って一方的に喋った後、妃御殿Aは去っていった。
先程渡された色褪せた封筒。
裏返してみたらあの堅い字で”若利へ”と書かれていた。
封筒を開き、中にあった紙を開くと便箋にぎっしりと文字が並んでいる。
”若利へ
これを読んでいるということは、俺は彼女に殺られたんだろう。
でも、これを読んでいるっていうことは、元気なんだな若利。
昔からお前は素直で、我慢強く、純粋で強い子だった。
情けない俺の背中を見ながらよく育ってくれたと思う。
お前は今頃たくさんの人に愛されて、こんな暗い社会じゃなく笑い合えるような友達に囲まれながら生きているんだと思うと寂しいような嬉しいような気がする。
実はな、母さんって昔は男の人が苦手だったんだ。
でも俺の一目惚れでさ、やっと手に入れて、でもすぐ離れていって。
でも母さん以外なんて考えられなくて、ずっとほおっておいたらこのザマで。
昔な、母さんになにかする度に初めてだって言われて、いくつになっても熱が冷めなくて。
お前もそんな人に出会ったらわかる。
信じたいって思う人がきっといる。
いつかそんな人に出会ったらこの言葉を残した俺はお前を育”
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時間一日（ときまいちじつ）(プロフ) - 緋絽さん» コメントありがとうございます！これからもキャラたくさん出てくる(出す予定)なので楽しみにしていただけると嬉しいです^^* (2020年2月21日 16時) (
レス) id: 4c0ef34530 (このIDを非表示/違反報告)
緋絽(プロフ) - めっさタイプのストーリーで度肝抜かれました。続き楽しみに待ってます。次はどこのキャラが出てくるのか、楽しみです。 (2020年2月20日 3時) (レス) id: 9dee7f56fc (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ@天かすっこ(プロフ) - 時間一日（ときまいちじつ）さん» 全然大丈夫です！これからも楽しみにしてます！ (2020年1月30日 16時) (レス) id: f129b71bbe (このIDを非表示/違反報告)
時間一日（ときまいちじつ）(プロフ) - ひとみ@天かすっこさん» 返信遅くなってしまいすいません。応援ありがとうございます、励みになります。更新頑張ります^^* (2020年1月29日 23時) (レス) id: 4c0ef34530 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ@天かすっこ(プロフ) - 1月初めから読み始めたんですけどこの話が私の好みドンピシャで、すごく好きです！これからも更新待ってるので頑張ってください！ (2020年1月25日 19時) (レス) id: f129b71bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時間 一日（ときま いちじつ） | 作成日時：2019年12月15日 23時
