-アンドロイド≠主従- 《俺足》

18，君と居るとよく分からない。 ページ18

旅館に着いた。
部屋は三部屋、どうせ三人部屋は研究所の皆様が使うのだろう。
「さくら」と彫られたカードキーを翳す。
東京で嗅ぐことのないイグサの匂い。

渉「畳だぁー！ゴロゴロゴローっ！」

畳に突っ伏す渉。
二十代そこそこの男が大の字で寝てるぞ。
シュールだ、写真を撮っておこう。

太「うん、じゃあお前は隣の部屋だから移動しろ。」

渉「はーいっ！・・・・・え？」

渉が飛び起きた。

太「嘘だよ、バーカ。」

また口を膨らませる。
頬をなぞり、叩くふり。
すぐ引っ込む頬っぺた。
面白いなぁ。
癒されるとは少し違うこの感情。
和む？
言葉が見つからない。

太「渉、お前は俺のことどう思ってる。」

驚いたような顔をする、渉。
まぁ、何時もそんなこと聞くの渉だもんな。

渉「どうしたの、今日は気持ち悪いよ？」

太「お前の真似だよ。」

少し考えた後、唇を尖がらせ「もう知らない！」と拗ねた。
気持ち悪いって言ったのお前じゃないか。

太「俺の質問に答えろ。」

渉「お前の声なんて聞きたくねーよ、馬鹿。」

肩を軽く突き飛ばし、後ろを向いてしまった。
何だよ。
少しイラッてきた。

太「おい、おーいっ！」

ゆっくりと振り向く。
渉は不貞腐れたような顔をしていた。

太「ごめんって、なぁ？」

何て屈辱。
そんな俺の言葉を聞くなり、笑顔になる。

渉「お前の真似。」

渉は子供のようにゲラゲラ笑った。
口を膨らませてみる。
「俺の真似だろ」と渉は笑顔のまま言った。
頬を叩こうとする渉の手を止め、引く。
押し倒し、馬乗り。
しかしすぐに跳ね除けられてしまい、一瞬で逆の位置になってしまった。
その後もマウントポジションを取り合う。
息が切れるまで繰り返し、キャッキャ笑いながら畳を転げ回った。

渉「ハァ・・・ハァ・・・・・そうだ、太輔。」

太「・・・・・ん・・・何・・・・・・？」

二人で天井を見ながら話した。

渉「俺は太輔のこと・・・・・好きだよ。」

横を見る。
渉も俺を見ていた。

太「友達としてだよな。」

渉「どっちの方が太輔は嬉しいの？」

そう言う渉が可笑しくて、笑いが込み上げた。

渉「そっちはどう思ってるっ？」

興味津々で聞いてくる渉。
犬みたいに目を光らせていた。

太「ん、俺・・・・・俺もお前のこと」

暗転する目の前。
何が起こったのかは分からなかった。

19，俺に分かるように説明してくれ。→←17，君の笑顔は眩しかった。

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