-アンドロイド≠主従- 《俺足》

2，彼との出会いは必然だった。 ページ2

家の中に入る。
中はメモや資料が散乱しており、カチカチとキーボードを弾く音が鳴り響いていた。

裕「博士ー！来ましたよー！」

音が止まる。
奥の部屋から出てきたのは、小柄で眼鏡をかけた白衣を着ている男の人だった。
胸には北山宏光というプレートが。

宏「待ってたよ、藤ヶ谷君。」

太「どうして・・・・・俺なんですか？」

抽選で当った？
いや、まず俺そんなの応募してないしなぁ・・・・・。
じゃあ健永が勝手にやったとか。

「決まってたことなんだぁー、俺らが目付けてたから。」

背後からの声。
後ろにいたのは長めの茶色い髪をした男の人だった。
手には某スーパーの袋。

俊「俊哉君、無事買い物戦争から生還しましたっ！」

宏「お疲れー。」

買い出しから帰ってきた彼も白衣を着始めた。
裕太さんも白衣を着用している。

太「あのぉ、俺は何でここに？」

宏「そういえば説明してなかったねー、まぁ座って？」

椅子に腰掛ける。
リクライニングが出来る、俺が座る椅子と言えば背もたれ固いからなぁ。

宏「君に来てもらったのは俺達が作った製品を試してもらう為なんだ。」

ゴソゴソと大きな鞄を漁る宏光さん。
そして出されたのは、札束。

太「なっ！？その俺っ、危ない仕事とかはっ・・・・・・。」

宏「大丈夫だよ、管理費とかも込みだからね。」

けどどう考えても危ない仕事でしょ。
麻薬とか合法ハーブとか運ばせられるのかな・・・・・？

宏「ココでだらだら話すのもなんだから、家に送っとくね。」

え、何を。

俊「というか送っといたよ！多分もう家に着いてる。」

え。
え？
俺の人生はこの謎だらけの奇妙な出会いからグルリと変わった。




太「マジで何なんだよ・・・・・ガチで？ドッキリ？」

愚痴をこぼしながら家に帰る。
結局お金貰っちゃったし、交番に届けようかな。
ま、今日は疲れたからいいや。
そう頭に思い浮かべながら帰路を歩んだ。
家に近づくごとに膨らむこの不安。
嫌な予感しかしない。
エレベーターに乗って６階へ。
・・・・・・違うよな。
あの大きな段ボールが置いてあるのは俺の部屋じゃない。
うん、ガッツリ６０４の前にあるけど。

太「ＭＫＳ研究所、あそこそういう名前なんだ。」

とにかく中に入ろう。
ドアを開け、健永と挨拶を交わす。
自分の部屋まで持っていき、貼られているガムテープを思いっきり剥がした。
中に見える、人の肌。
恐る恐る外に出すと、それは完全に人間の形をしていた。

3，君の名前は『Ｆ-３横尾渉』。→←1，ミスター平凡とは俺のことだ。

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