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大切なもの ページ11

撮影が終わった。
終始笑顔の絶えない楽しい撮影となった。カメラマンさんもスタッフの方も気さくで、スムーズに進んだ。

「これ、良いわ」

「これは......恥ずかしいわ」

「これ、素敵」

今は、スタッフの方と亜希子が写真を選んでいる。僕が、亜希子が決めてくれと言った。


「貴方、終わったわ」

亜希子が笑顔で戻ってきた。

「どうだった?」

そう問いかけると、亜希子は笑顔で、

「自分で言うのもなんだけど、どれも素敵だったわ」

と言った。

「写真の亜希子より、実物いや、『僕の』亜希子が一番素敵で、綺麗だよ?」

そうおちょくってみると、亜希子は頬を赤くし、微笑んだ。








亜希子と、たくさんの観光地に行った。
大阪、京都、沖縄......。
亜希子の行きたい場所には、殆ど行っただろう。
あと、一ヶ月....。


「有難うね、たくさん観光できて、良かったわ」

亜希子は、微笑んだ。
亜希子は、最近体の調子が悪い。
もう外出は出来ないらしい。
だが、その前に結婚写真を撮り、たくさん旅行に行けたので、良かった。


「ごほっ、ごほっ......あ、貴方に渡したいものがあるの....」

胸を抑え、咳き込みながら、亜希子は言った。

「大丈夫...?渡したいものって?」

亜希子を見るのが辛い。
今はまだこの世にいるが、あと一ヶ月後くらいにはいなくなってしまうと思うと、胸がいたい。

「これ...」

と、一冊の本を出した。

「これは...」

「私が祖母にもらった本なの」

本をさすり、悲しそうな目でそう言った。

「そんな大切なものを......」

祖母の形見を僕がもらって良い訳がない。

「ううん、貴方にもらって欲しいの」

そう言って、僕の手に本を置いた。
亜希子の温もりがあり、切なかった。

「有難う......大切にするよ」

そう言って受け取ると、亜希子は「有難う」と言って微笑んだ。

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設定タグ:余命三ヶ月 , 思い出 ,   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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苺大福 - 秘密だおさん、コメントありがとうございます!「僕」は、優しい、紳士のような性格にしたかったので、そう言っていただけて嬉しいです。 (2019年2月10日 2時) (レス) id: 7fe0549102 (このIDを非表示/違反報告)
秘密だお - 亜希子さんの年齢層がわかり辛いです。でも「僕」の優しいところがかなり好きです (2019年1月27日 10時) (レス) id: cb505d6806 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福 - 鉛豆腐屋さん、コメント有難うございます!面白いと言っていただけて良かったです!これからも頑張りますので、引き続き見ていただけると嬉しいです! (2018年10月23日 23時) (レス) id: 7fe0549102 (このIDを非表示/違反報告)
鉛豆腐屋 - 亜希子さんが好きな本のことが詳しく書いてあり、とても面白かったです。 (2018年10月23日 22時) (レス) id: 825cd368f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苺大福 | 作成日時:2018年10月21日 18時

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