花言葉 ページ2
亜希子のお見舞いに来た。今日は、花束を抱えて。
毎日お見舞いに来るようにしている。どんなに忙しくても疲れていても。彼女が辛い分を僕が補ってあげたいから___。
「亜希子、来た...よ」
病室に入り、亜希子のもとへいくと目を瞑っていた。
俺は彼女の手を触った。じんわりと温もりが伝わってくる。
余命三ヶ月と宣告されたがいつ死んで、僕のもとから離れてしまうかわからない。寝むったまま一生目を覚まさないかもしれない。
眠っている彼女の隣で声を殺して泣いたこともあった。
「ん...来ていたのね...」
目をこすりながらゆっくりと起き上がる。
「うん、今日は花束を持ってきたんだ」
僕はそう言って、101本の真っ赤な薔薇の花束を手に取り、背中に隠した。
薔薇の花言葉は「愛」。
薔薇を101本贈ると、「これ以上ないほど愛しています」という意味になるのだ。
「花束...？どうして...？」
不思議そうに首をかしげた。
「なんてったって、今日はバレンタインデーだろ？」
そう、今日はバレンタインデーなのだ。
折角なので、なにか亜希子に贈りたいと思い薔薇の花束を買ったのだ。
「あぁ、そうだったわ...」
と、彼女は微笑えんだ。
「はい...花束。花束を贈るの...君が初めてだよ。」
僕は、花束を渡しながらそう言った。
「ふふっ、ありがとう...」
亜希子は、頬に涙をつたわせ、花束を受け取った。
花束を抱え、頬に涙をつたわせながら微笑んでいる姿はとても美しかった。
涙が、キラリと光った。
「ははっ...ベタだけど、これが一番かなって」
照れながら、そう言った。
「嬉しいわ。本当なら、私からチョコレートを渡さないといけないのに...」
涙を流し、微笑みながら彼女は言った。
「いいんだ。亜希子はいてくれるだけで十分す
ぎるんだ」
そうだ、亜希子は、いてくれるだけで、僕の心の支えになってくれる。
生きていてくれるだけで十分だ。
「ありがとう、ありがとう...」
亜希子は涙をながしながら何度もありがとう、ありがとうと言った。
「薔薇はね、全部で101本あるんだ。
その花言葉は『これ以上ないくらい愛しています』なんだよ」
「これ以上ないくらい愛していますだなんて、照れるわ...」
と、薔薇の花束をギュッと抱きかかえ、頬を赤くした。
「大好きだ...愛しているよ...」
つい、思っていたことが口に出てしまった。
「えぇ、私もよ...」
亜希子は微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺大福 - 秘密だおさん、コメントありがとうございます！「僕」は、優しい、紳士のような性格にしたかったので、そう言っていただけて嬉しいです。 (2019年2月10日 2時) (
レス) id: 7fe0549102 (このIDを非表示/違反報告)
秘密だお - 亜希子さんの年齢層がわかり辛いです。でも「僕」の優しいところがかなり好きです (2019年1月27日 10時) (レス) id: cb505d6806 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福 - 鉛豆腐屋さん、コメント有難うございます！面白いと言っていただけて良かったです！これからも頑張りますので、引き続き見ていただけると嬉しいです！ (2018年10月23日 23時) (レス) id: 7fe0549102 (このIDを非表示/違反報告)
鉛豆腐屋 - 亜希子さんが好きな本のことが詳しく書いてあり、とても面白かったです。 (2018年10月23日 22時) (レス) id: 825cd368f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：苺大福 | 作成日時：2018年10月21日 18時
