たった一つのたからもの【オリジナル】【カニバリズム】 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:434 hit

２話ページ3

「ねえ、Aちゃん。ちょっといい？」

放課後、日直の仕事が終わり帰ろうとした所を、クラスメートの女子に話しかけられる。確か、この子は観月のことが好きな人だ。
きっと、観月の好みを探りに来たのだろうと思い、私は女子についていった。

連れてこられたのは、滅多に来ない空き教室。

「あのさぁ…前から思ったたけど、アンタなんなの？
　観月君につり合わないのに観月君に付きまとわないでよ。迷惑なの、分かる？」

…え？
なんて言えばいいのか分からないでいると、突き飛ばされる。
かなり強い勢いで突き飛ばされた為か、壁に背中が当たった時にゴンッという音が教室に響く。

「…誰かいるの？」

誰かの低い声が聞こえた。
女子は、青ざめた顔で教室から出ていく。まあ、こんな所誰かに見られたらヤバいもんね。

「…？！ A！大丈夫？！」

あの低い声の正体は、なんと観月だった。
観月ってあんな低い声出せたんだ…じゃない。

「う、うん。大丈夫…だよ」

嘘だけど。本当は背中がまだヒリヒリ痛む。あの女子…力強すぎない？今度から心の中ではゴリラって呼ぼ。

「…嘘だよね。本当のこと言って？」

あ、バレた。というか、嘘って分かるの早くない？私ってそんなに嘘つくの下手？

「いや…本当は背中がまだヒリヒリする…」

正直に言うと、観月は背中を撫でてくれる。
あー、安心。なんか恥ずかしいけど安心感ある。

「＿＿＿＿」

観月が何かを呟いているが、声が小さすぎて聞こえない。
まあ、そんなに小さい声で言うなら私には関係ないことだろうし、気にしなくていいか。

「…A」

急に名前を呼ばれたから、驚いて観月の方を見るとキスをされる。
は？！え？ちょ、まっ？！どゆこと？！
混乱していると、なぜかだんだん眠くなってきた。
なんで私、こんな状況で眠くなってるの？！
色んな事が起きすぎて混乱している間に、私の意識は途切れてしまった。