僕は君に2度恋をする【Hayato.K】 (ページ15)

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#15 ページ15

7月。

まだ梅雨は開けていないけれど

いよいよ本格的に暑くなり始めたそんな時期。

アリーナツアーの追加公演も決まっているけど

それ以外の公演は全て終了した。

今日は久しぶりの1日休み。

今日は風もなく、サーファーもいないから

僕と彼女の2人だけ。

『海なんて、久しぶりに来ました』

｢うん、そうだね｣

時折吹く初夏の柔らかい風。

空はとても青く

波の音に混じって聞こえる鳥の囀り。

ゆっくりと浅瀬を歩いていると

少し前を歩く彼女が何かに躓いた。

｢危ないっ、｣

咄嗟に手を取り、何とか転ばずに済んだ。

｢あ、ご…ごめん｣

繋いだ手に気づいて直ぐに離そうとすれば

それを離さまいと、ぎゅっと握る彼女。

｢Aちゃん…？｣

手を繋いだまま僕の前に立つ彼女は

そのままゆっくりと僕の胸に頭を預けた。

君の体温を感じたのはこれで二度目だ。

『隼さん…どうして、ダンサーになったんですか？』

海の帰り道、揺られる電車の中で

彼女が僕にそう尋ねた。

｢うーん、1度ライブにバックダンサーとして出たことがきっかけかな、｣

あの、テレビ局に彼女を連れて行った日から

彼女は少しづつ僕の仕事を

理解してくれようとしている。

｢まだまだ叶えたい夢もあるし、もっともっと頑張らないといけないんだけどね｣

僕がこの先、どんな夢を叶えていく時も

隣にはいつも君がいて欲しい。

そんな風に誰かに対して思ったことは初めてで

この時はまだ、

それが当たり前だと思わなかったんだ。

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