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『世一くんは弟みたいなものだよ』
からかいすぎたのか、冴は未だに睨んだまま雪の話を聞く。そんな冴に雪は苦笑しながら、宥めるように頭を撫でた。まさか、冴が嫉妬をするなんて。否、執着心が強いことは知っていた。だから、嬉しかったのかもしれないと、雪は冴が見せたその嫉妬心に喜んでいたのだ。自分は彼に愛されているという、その事実が彼女を安心させた。それは数年間、彼に会っていなかった雪の愛に飢えた欲望からなのか、それとも……。そこで雪は考えることをやめた。自分が彼からの嫉妬に喜んだことには変わりなかったからだ。
しかし、雪が見たそれは可愛らしく、ほんの少しの嫉妬心だったということを彼女は知らない。冴は渦巻いている独占欲を、静かにけれど決して冷めることはないそれを、腹の底に潜めていたのだ。そして、それを雪が知ってしまえば自分から離れると冴は考えていた。だから、雪には見せずゆっくりと静かに独占欲という名の愛で彼女を縛った。少しずつそれを垣間見せては、彼女に自分の愛を信じさせる。それが不必要だということを冴は知らない。そんなことをしなくても彼女は冴からは離れない、離れられないのだから。
『それに、世一くんに会えなきゃ、冴とは会わなかったかもしれないよ？』
「会う気なかったのかよ」
『わたしにだって怖いものがあるの』
唇を尖らせてそう言う彼女だが、彼女自身が会う気がなくとも冴は彼女を血眼で探し、どこに身を隠したって、彼女を見つけただろう。糸師冴とはそういう男だ。現に、彼女を自分の隣にいさせるためにベータからオメガへと無理やり変えさせたのだから。
『冴はわたしを信じない？』
少しあいを滲ませた雪の瞳に、冴の眉間に皺が寄った。嫌そうな辛そうで苦しそうな表情をする彼に雪は笑みを浮かべた。こんなにも重くて苦しいほどの首輪をつけたのに、彼はまだ不満らしい。
雪はゆっくりと顔を近づけた。目など瞑ってはやらない。この、哀しみも愛も全部見つめて自覚すればいいのだ。その愛という罪を。
触れた唇は熱を伝えた。柔らかいとはいえない、少しカサついたその唇が愛おしいと思ってしまう自分は、もう彼に囚われているというのに。雪は息を一つ吐いた。
「雪」
『あ、わたし今週の日曜日、世一くんと会うから』
「は？」
これくらい許してね？なんて口に弧を描く雪に冴は舌打ちをした。
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うつ(プロフ) - レンヤさん» コメントありがとうございます！レンヤ様のオメガバースを好きになるきっかけになることができてよかったです🫶🏻楽しみにして頂いてありがとうございます🙇🏼♀️💕応援してくださってとても嬉しいです☺️ (2023年4月21日 13時) (
レス) @page8 id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
レンヤ(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。作者様の前作にオメガバース作品の良さを教えて頂きました✨ 続編を作られていてこれからの続きが凄く楽しみです！かげながら応援しております！！ (2023年4月21日 8時) (レス) id: 315830c04e (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 砂時計さん» コメントありがとうございます。続編も読んでくださりありがとうございます、！ドロドロ甘々なお話を目指しているのでそう言って頂けてと手も嬉しいです😿♡これからも二人のドロドロイチャイチャ生活を見守っていただけると幸いです💕 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 真昼さん» そう言って頂けてとても嬉しです、！不定期更新ですが、気長にお待ちください🫶 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - コメント失礼します。続編、おめでとうございますっ、また、お二人のお話を読むことが出来てとても幸せです😭♡ 作者様の仄暗さと甘ったるさの詰まった感情描写がとても美しくて好きです。これからも作者様のペースで更新のほど頑張ってください！！ (2023年4月1日 9時) (レス) id: 9f48da2d13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うつ | 作成日時：2023年3月20日 9時
