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『わたし、ちょっとお手洗いにいってくるね』
「わかった」
席を立った雪に、潔はそう言って彼女の背中を見つめた。そして、コーヒーを啜る冴に視線を向ける。雪がいなくなった為、自然と潔と冴の二人だけの空間ができあがる。
「まさか雪ちゃんの恋人が冴とは思ってなかったわ」
「俺も潔と雪に関わりがあると思ってなかった」
冴の言葉に潔は苦笑する。世界が狭いとはこういうことなのだろうか。なんて潔は思いながら、幸せそうに笑う、姉のような存在である彼女を頭に浮かべる。そんな彼女に釣られて自分も笑みが溢れる。そんな潔に冴が怪訝な視線を向けた。しかし、それに気をとめず潔は口を開いた。
「雪ちゃんが一度でもいいから、スペインに行きたいっていう理由もわかったし」
「は、？」
「あれ、雪ちゃんから聞いてないのか？」
澄んだ青色が冴を映す。
スペインに行きたいなんて、聞いたこともない。
冴は柔らかな笑顔を浮かべる雪を思い出しながら、潔の言葉に眉をひそめた。
「なんで……」
「そりゃ冴に会いにじゃない？」
「……いつから言ってた」
「聞いたのは高校からだけど、たぶん結構前から決めてたと思う」
「雪ちゃん、中学三年生のときスペイン語の教科書買ってたし」と、潔は思い出したようにそう言う。
中学三年生、とは冴がちょうどスペインに行き一年が経った頃で、名前も上がり始めた時期と同じだった。
「だからスペイン語めっちゃ上手いんだよな」
「へぇ、喋れんのか」
「すげぇ流暢だった」
スペイン語が話せる。それならば、いつスペインに連れて行っても大丈夫だということ。その事実に、冴はオフシーズンが終わった後、雪をスペインに連れていくことを強く決めた。もちろん、言葉が話せても話せなくても、彼女をスペインに連れて行くことは決まっていた。それは、彼女を部屋から出すつもりも、他の人間と会わせるつもりも無かったからだ。彼女はずっと自分の手の届く場所で生きていく、冴はそう遠くはない未来像を考えながら、冷めたコーヒーを飲み込んだ。
『ただいま、ごめんね』
「おかえり、雪ちゃんのケーキ届いてるよ」
『わぁ！美味しそう……！』
お手洗いから戻ってきた雪に、潔は彼女が頼んでいたガトーショコラが届いたことを教える。すると、彼女の瞳が分かりやすく輝く。そんな雪に冴は頬を緩めた。
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うつ(プロフ) - レンヤさん» コメントありがとうございます！レンヤ様のオメガバースを好きになるきっかけになることができてよかったです🫶🏻楽しみにして頂いてありがとうございます🙇🏼♀️💕応援してくださってとても嬉しいです☺️ (2023年4月21日 13時) (
レス) @page8 id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
レンヤ(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。作者様の前作にオメガバース作品の良さを教えて頂きました✨ 続編を作られていてこれからの続きが凄く楽しみです！かげながら応援しております！！ (2023年4月21日 8時) (レス) id: 315830c04e (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 砂時計さん» コメントありがとうございます。続編も読んでくださりありがとうございます、！ドロドロ甘々なお話を目指しているのでそう言って頂けてと手も嬉しいです😿♡これからも二人のドロドロイチャイチャ生活を見守っていただけると幸いです💕 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 真昼さん» そう言って頂けてとても嬉しです、！不定期更新ですが、気長にお待ちください🫶 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - コメント失礼します。続編、おめでとうございますっ、また、お二人のお話を読むことが出来てとても幸せです😭♡ 作者様の仄暗さと甘ったるさの詰まった感情描写がとても美しくて好きです。これからも作者様のペースで更新のほど頑張ってください！！ (2023年4月1日 9時) (レス) id: 9f48da2d13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うつ | 作成日時：2023年3月20日 9時
