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『ッゆ、ゆうじくん!?』
「おん、俺がどうした?」
「虎杖が積極的で嬉しいってさ」
『ちょぉっ…!』
「あ、そういうこと」
悠仁くんはまるで「そんなことか」という顔で私の顔をジッと見る。
「そりゃAに好きでいてもらいたいし!」
「あたりまえっしょ」と、キラッキラの笑顔で言うから顔が赤くなるのを自覚する。
「あ、そーだ。A、夜蛾せんせーが呼んでたよ」
『え、あ、ほんと…?すぐ行く…』
「ん、いっしょ行こ」
『え…っや、でも』
「じゃーな、釘崎」
「はいはい」
少し強引だったけど、悠仁くんは自然に私の右手を繋いで、歩き始めた。
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『…ゆーじくん』
「ん?」
人気がなくなった廊下。
ギュッと、繋いでいた手を強くして、彼の名前を呼ぶ。
「…!」
背伸びをして、一瞬の、リップ音が鳴り響く。
『…私も、悠仁くんが私のこと、ずっと好きでいて欲しい…よ』
そう小さく言えば、手を繋いでいない片方の腕で優しく私を抱きしめた。
「ん、ありがと」
ぽんぽん、と頭を撫でられる。
『……この時間が、ずっと続けばいいのに』
そう呟くと、ピクッと揺れる悠仁くん。
「なんでそんな可愛いこと言うん?」
『…ほんとのことだもん』
「夜蛾せんせーのとこ行きたくなくなった」
『急いで行って、次の授業始まるまで一緒にいよう?』
「…なるほど。A、頭良いね」
寂しいけど、抱きしめられていた腕がするりと解けて、でも手は繋いだまま、夜蛾先生のところへ向かった。
「そーいやね、さっき伏黒がさ」
悠仁くんが話している横顔が、とっても好き。
前よりも、近くで見られる。それがこの上なく嬉しい。
まだまだ手探りだけど、悠仁くんが素直にぶつけてくれる分、私も素直に彼と向き合っていけば、色んなことが上手にできない私でもできるのかもしれない。
『…幸せだな』
「ん?何?」
私に背を合わせて、屈んでくれる悠仁くん。
こういうところも、好きだ。
『な、なんでもない!恵くんの話の続き、聞かせて』
そう誤魔化して、繋いだ手をまた強く握った。
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コーンクリームコロッケ(プロフ) - 何だこの最高な作品はっ…………!!!!にやけてしまったでは無いか!親にバレそうだったよッッ(夏油ボイス) (12月14日 7時) (レス) @page33 id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!番外編もお楽しみください!(^^) (2023年3月19日 9時) (レス) @page28 id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
カイ - 悠仁、いや夢主でもいい、その雰囲気のまま告っちまえ!!更新楽しみにしてます!(*^^*) (2023年3月15日 18時) (レス) @page23 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - アリスさん» 安心してください…ちゃんと供給します… (2023年3月10日 16時) (レス) id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 続きを… (2023年3月9日 13時) (レス) @page19 id: c3cbdb19d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2023年3月1日 13時