106.行ってきます ページ8
「あと5人!」
残るはエマとレイ、トーマ、ラニオン、ジェミマだけだ。
「次ジェミマおいで」
「エマ、、どうしよう手が⋯ご、ごめんなさい。下が崖だって思ったら、もし落ちたらどうしようって⋯⋯!」
「落っ⋯!」
泣き出すジェミマの恐怖がトーマとラニオンにまで伝染する。
「大丈夫。大丈夫だ、一緒に渡ろう」
こんな時にあやしてくれるAの代わりに、レイがジェミマを抱っこして、安心させるために頭を撫でる。
「エマ、さっき皆を引き上げた時のロープあったろ。それで俺とジェミマを固定してくれ」
「降下の手順は?」
「見て覚えた。わかってる」
エマはキュッと強くレイとジェミマをロープで縛って固定する。
「お前らは?1人で平気か?」
「っおう。アタボーよ!」
レイの売り言葉にトーマとラニオンが買い言葉で答える。
「よく言った。じゃあ行くぞ、ジェミマ」
改めてジェミマを抱え直すとハンガーを持って滑る準備をする。
「ヒュ〜、かっこいい」
らしくない事をしたからだろうか。Aの茶化すような声が聞こえた気がした。Aはこんな展開になることも見越していたんだろうか。
「A⋯」
「12年しか生きてないのに死にたがりの達観レイくん、少しは希望が見えましたか?」
全力でバカにしてくるAにイラッとする。
「“約束”、守れなくてごめんな」
「Aのばーか⋯」
そのクセすぐにしんみりとした顔になるAにエアデコピンをした。
「ったく、俺の負けだ。ノーマン、A」
死ぬのはまだ先でいい。俺はこいつらと逃げる。足掻く⋯守るよ。次は誰一人死なせない。
あとはエマが滑るだけとなった時、やっとの事でママが追いつくが、もう遅い。
「⋯さよならママ」
滑り終わってロープを切ると、みんなで森の中へと走り出す。
──行ってきます。
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ルノチキ(プロフ) - サクラさん» サクラさんコメントいつも本当にありがとうございます!!申し訳ないのですが受験生のため、来年の3月くらいまで一度更新停止させて頂いています。どうか気長にお待ち頂けると幸いです。 (8月30日 17時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続きお願いします。 (8月13日 14時) (レス) id: fb2a310b55 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます!そんな風に言って貰えてすっごく嬉しいです!!更新再開までお付き合い頂けたら幸いです。 (6月15日 16時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - こんなにも面白い作品をありがとうございます。 (6月13日 4時) (レス) @page11 id: 3f6213cd29 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - サクラさん» 毎度この作品を読んでくださりありがとうございます。そう言ってもらえて何よりです! (2023年5月8日 22時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2022年8月22日 17時