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105.ありえない光景 ページ7

ウウウゥゥゥゥウッ⋯!

みんな目的の場所まで全速力で走っている中、静寂を破るようなサイレンがけたたましく鳴り響く。


「通報⋯予定より早いな」

「どうする!?まだ橋まで全然遠いぞ!」

橋まで向かうと思っているレイは焦りつつも必死に打開案を模索する。が、そんなレイの考えをエマが振り払う。

「問題ない。元々橋へ向かうつもりはない。
ここから対岸に渡る」




ノーマンの手紙にはこう書いてあった。

“逃げるなら橋から。崖はない”

誰だってそう思うだろう。ママだって、本部(おに)だって。だからこそ橋へは行かずに崖から逃げる。対岸までの距離と地形は見てきた、危険だけど渡れそうな場所はある。2ヶ月(じかんも)ある。




石が括りつけてあるロープを自分から最初の1人に名乗り出たドンがカウボーイの要領で木に巻きつけると、緊張した面持ちでハンガーをロープに掛けて滑っていく。

最初の一人(・・・・・)が渡ればいい。


「OK、次は俺達!」

そう言ってトーマとラニオンはこれまたロープを巻いたペットボトルロケットを飛ばして噴射させた。
それを対岸のドンが木に巻きつける。





「さ、みんなも順番に準備して」

この2ヶ月、準備と訓練を重ねてきた子達が次々と滑っていく。








「どう?」

「ノ⋯」

憎らしいほどのしたり顔のノーマンがレイには見えた。


“いいもの見せてやるから黙って来い”⋯ね。
目の前に広がっているのはノーマンとレイがありえないと思っていた光景だ。

無茶で無謀だけど、迷わず“全員”と言える真っ直ぐなエマだからこそみんな信じてついて行くんだろう。



「諦めなくていいんだよ」

そんなノーマンの声が風と共に耳に届いた。

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ルノチキ(プロフ) - サクラさん» サクラさんコメントいつも本当にありがとうございます!!申し訳ないのですが受験生のため、来年の3月くらいまで一度更新停止させて頂いています。どうか気長にお待ち頂けると幸いです。 (8月30日 17時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続きお願いします。 (8月13日 14時) (レス) id: fb2a310b55 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます!そんな風に言って貰えてすっごく嬉しいです!!更新再開までお付き合い頂けたら幸いです。 (6月15日 16時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - こんなにも面白い作品をありがとうございます。 (6月13日 4時) (レス) @page11 id: 3f6213cd29 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - サクラさん» 毎度この作品を読んでくださりありがとうございます。そう言ってもらえて何よりです! (2023年5月8日 22時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルノチキ | 作成日時:2022年8月22日 17時

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