37話 向き合う ページ39
no side
『親父、話がある』
Aの方から話しかけてきたことに父親は目を皿にしていた。
Aは話がある、とは言ったもののどうやって話を切り出すべきか悩んでいた。
どのくらい沈黙が続いたのだろうか。
沈黙が続けば続くほど、空気がどんどん重くなっていく。
その空気に耐えられなくなったAはあーもう、どうにでもなれ。と口を開いた。
『俺さ、東卍に入りたいんだ』
「...いきなり何を言い出すかと思えばそれか。空手は、テコンドーだってどうするんだ」
『俺、今まで親父とちゃんと向き合ってこなかった。けどこれからは話さなきゃいけねぇと思った。いつまでも逃げ続けるわけにはいかねぇし。
親父にも東卍に入ることを認めてほしい!
それが今の俺自身の夢だから。本気なんだ...!』
Aは今までに見たことがないくらい本気の目をしていて、それを否定する言葉は不思議と出てきやしなかった。
父親はその目を見て今は亡き妻を思い出す。
“「貴方ったらホント困った人、これからはAを応援してあげてくださいね」”
父親には確かにそんな声が聞こえた気がした。
「⋯⋯入るからには途中で投げ出すんじゃないぞ」
『っはい!!』
Aは満面の笑みで返事をした。
お互いが向き合えた瞬間だった。
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ルノチキ(プロフ) - 鎖骨さん» まじですか!?そう言って頂けて何よりです!最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2021年10月1日 0時) (レス) id: c4cd32353d (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨 - 凄い…めちゃくちゃいい話でした。。終わり方が最高です…!!グッとくるものがある…! (2021年9月30日 23時) (レス) @page42 id: c7ef1e87db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年8月23日 10時