33話 突き放せよ ページ35
「何があった？」
マイキーくんが肩から手を離してしゃがんで、ベッドに座る俺と目線を合わせる。マイキーくんはそろそろ教えてくれてもいいだろ？とでも言うように笑って言った。
『⋯⋯テコンドーが嫌いになっただけだよ。一番大嫌いなのは空手で...だからマイキーくん、アンタも俺にとっちゃ煩わしいんだよ』
なんでテコンドーが人気にならない。
なんで家の道場も空手ばっかなんだよ。
帰ってきてから上手くいかないことばかりで俺が期待して想像してたものとは180度も違う。
それになんでわざわざ家にまで来たんだよ。
時間によっては親父がいるかもしれなかったのに。そうなれば不快に思うのはみんななのに。
突き放させてくれよ。
突き放せよ、煩わしいなんて酷いことを言った俺を。
「...お前ってホント素直じゃねーよな」
放っといてくれればそれで終わりなのに、マイキーくんはそう言うと3人は目を見合わせて笑った。
『出会ったばっかなのに俺の何がわかるってんだよ』
「時間なんて関係ねぇ。この数ヶ月で俺はいっぱいお前のことを知った」
真剣な瞳に見つめられ言葉に詰まる。
『っ、はっきり言わないとわかんねーみたいだから言うけどもう全部うんざりなんだよ、喧嘩なんか興味ねぇっつってんだろ！俺を巻き込むな！！』
お願いだから関わらないでくれ。
「ホントに興味ねぇのか？」
『喧嘩なんて、しょうもない』
誰かが言った言葉を借りてそう答えた。
自分のストレスとか鬱憤とかの感情をぶつけ合ってるだけだろ。むしゃくしゃしたからやったなんてのはよくある話。
「...俺と喧嘩したときもつまんなかったンかよ」
俺が怒鳴ってもマイキーくんの目は凪いでいてなんとも居た堪れない気持ちになる。
その目を見てたからかAは冷静になった。
『マイキーくんとした喧嘩は確かに楽しかったんだ。東卍に入りたいって思ったこともある』
「だろ？やっぱりさっきの本心じゃなかった」
──
────
〈ミカやっぱり東卍入らねぇ？〉
《気が向いたらな》
別れる前になると、東卍に勧誘してくるマイキーくんを断るのが恒例となりつつあった。
ずっとこんな時間が続けば良いのにな。
そう思うくらいにはあの日常が楽しかった。
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ルノチキ(プロフ) - 鎖骨さん» まじですか！？そう言って頂けて何よりです！最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2021年10月1日 0時) (
レス) id: c4cd32353d (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨 - 凄い…めちゃくちゃいい話でした。。終わり方が最高です…！！グッとくるものがある…！ (2021年9月30日 23時) (レス) @page42 id: c7ef1e87db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルノチキ | 作成日時：2021年8月23日 10時
