26話 逃げた ページ28
「オマエが“
「は⋯はい！」
マイキーくんはニコリと笑顔を浮かべ、ゲタで一蹴した。するとさっきまで俺を掴んでいたマイキーくんの手はキヨマサを殴っていた。
「誰だオマエ？」
マイキーくんの喧嘩＿＿一方的だから喧嘩といえるのか危ういが＿＿をマトモに見たのはこれが初めてだった。
そして一目見ただけでわかった。
あの型は、空手だ。
昔、家の道場で嫌というほど見てきた。
なんで今まで気づかなかったんだろう。
いや、きっと無意識に気づかないフリをしてたんだ。
よりによってマイキーくんが空手使ってるとか...ははっ笑える。
やっぱりどこまでも俺はツイてねぇ。
「帰ろっかケンチン。Aも来い」
Aと初めて呼ばれた名前には怒気がこもっていた。
『⋯俺、帰るから』
「あﾞぁ？約束破ったくせに何言ってンだテメェ」
そう言われて胸ぐらを掴まれる。
それなのにAの目にはなんの感情も無く、ただマイキーを見つめ返すだけだった。
「おいマイキー、一旦落ち着けって」
激昂しているマイキーくんをドラケンくんが宥める。
「落ち着けるかよ！なぁ、一体何考えてんだよ」
Aの胸ぐらを掴む手に更に力が入る。
『空手、マイキーくんがやってるなんて思わなかった』
そう言ったAは無表情なのに声は酷く弱々しい。まるで今にも泣き出してしまいそうな声だった。
「は？それとなんの関係が、」
マイキーくんが言い終わるより前に俺は口を開く。
手を掴み返して無理やり胸ぐらにある手を外した。
『もう、いいから放っといてくれよ』
Aは下を向き、目を逸らしてそう言った。
驚いたマイキーくんを余所に俺は走って不良たちの人混みの中に突っ込んだ。
「「！？」」
「ちょっ、オマエら邪魔だ」
チラリと振り返るとマイキーくんは俺を追いかけようと人混みに入るも、手こずっていた。
──俺は逃げた。
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ルノチキ(プロフ) - 鎖骨さん» まじですか！？そう言って頂けて何よりです！最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2021年10月1日 0時) (
レス) id: c4cd32353d (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨 - 凄い…めちゃくちゃいい話でした。。終わり方が最高です…！！グッとくるものがある…！ (2021年9月30日 23時) (レス) @page42 id: c7ef1e87db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルノチキ | 作成日時：2021年8月23日 10時
