20話 いつぞやの ページ22
タケミチside
太陽が暑さを主張し始めた7月。
夜になればひんやりとした風が心地よい。
いや、寧ろ少し肌寒いし、風が傷口によく刺さって痛い。
『あれ、あんた...』
学校の帰り道を1人でおぼつかない足取りで歩いている。キヨマサにボコされてボロボロの中、俺は無我夢中で橘ヒナタに家に向かっていた。
そんな時、突然声をかけられた。
振り返ってみるが誰だかわからない。
『...俺のこと覚えてない?』
少し前に会ったばっかなんだけど、とちょっと不貞腐れる目の前の彼。
え、俺の知り合いにこんなかっこいい人いたっけ?と12年前の記憶を辿る。
「迷子の...」
あ、そういえば迷子の人を案内したような...
12年前の事とはいえかっこよかったし、一蹴りでのされたからよく覚えている。
でも目の下には薄らクマができていた。
前はこんなのあったっけ?と頭を悩ませるが、結局わからないままだった。
『そーそー。思い出したか?
お前っていつもボロボロなんだな......一応お礼しとこーと思ってさ』
一度だけしか会って話したことしかないけれど、記憶の中の彼はもっと明るかったような気がする。
『...お前、ヤンキーなんだろ?だったらもう少し体鍛えた方がいい』
そう言って渡されたのは2つのハンドグリップ。
負荷が違うのかな。よくわからないけどプレゼントのチョイスが独特だ、と思わず笑みがこぼれる。
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ルノチキ(プロフ) - 鎖骨さん» まじですか!?そう言って頂けて何よりです!最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2021年10月1日 0時) (レス) id: c4cd32353d (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨 - 凄い…めちゃくちゃいい話でした。。終わり方が最高です…!!グッとくるものがある…! (2021年9月30日 23時) (レス) @page42 id: c7ef1e87db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年8月23日 10時