体育館裏で愚痴をぶちまける。５【青葉城西】

泣かせるな花巻パイセン。 ページ29

「…お前さ、いつも思いつめすぎんなよな。」


『……。』


「…泣いてる？」


『…泣いて、ません。』


「変な所で意地っ張りだな…。」



花巻パイセンが一緒に帰れるという事なので、一緒に帰っている。

部活中もシャッターのきる音が私のプレッシャーとなり、集中なんて全然できない。

ダメにしているのは、私の方なんじゃないか。

私がいるから、部活も、松川パイセンにも迷惑かけているのではないかとも考えてしまった。

…私らしくないのは知っている。

もう、嫌だ。

今は、花巻パイセンが「仕方ないなぁ。」とか言いながらおぶってくれている。

ここで担がれていたら、私ももう花巻パイセンのこと嫌いになっていた。



「誰が見てもあれはやばい。もう見せしめだよな。」


『…。』


「お前はよく頑張っているよ。選手以上に。普通のマネージャー以上に。」



私が花巻パイセンの肩に顔を埋めていると、花巻パイセンはポツリポツリと語りだした。



「利香ちゃんの時もさ、半年も背負えねえだろ。お前すげえよな。変な所で。

そんでさ、合宿の時も俺のせいで捻挫したようなもんなのに、全然責めてこないのな。もうちょっと怒ってくるかと思った。

手もあんなに切っていたのに、臆することねえし、むしろ切らなかったら褒めてくださいって。

そういうのお前だけだわ。あと、今回の海野の件な。

お前はいっつも背負いすぎなの。だからそうやって愚痴っちゃうの。そうやって泣いちゃうんだよ。

もうお前は一人じゃねえし、しかも松川がいるじゃねえか。いいねえ。本当。お前は恵まれているよ。



　






　








お前は、一人じゃねえよ。」


『…ぅ…うぅ…！』



泣かせる言葉言ってくるんじゃねえです。そう言おうとしても、出てくるのは嗚咽ばかり。

山中の時みたく、ぼろくそ泣いた。



「…制服、クリーニング代な。」


『わがっでまず…！！』


「ハハハ、ボロボロ。」



花巻パイセンは、私を背負いながら笑っていた。



　






　




(これが、松川だったら、まだよかったのかな。)

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