振り回されている。 ページ6
佐久早side
「はあ……」
「なに、今日はため息がいつもよりでかいね」
部活終わり、古森と一緒に帰る。
「そういえば、さっき女子に呼び出されたけど……それが原因?」
「……」
「図星かよ。なに、告白されたの?」
古森は何も答えないと「ねえねえ」とずっと聞いてきてうざいからな。
「告白されたところを、佐原に見られた」
「! Aにか!!」
「断る時に適当に好きな人がいるから無理って言ったら、あいつそれを鵜吞みにして応援するって言いだした」
「うわあ……いやあ、でもその状況だったら信じちゃうよ」
古森は口に手を当ててあ〜あ、と憐れむような目で見ている。
「でも実際好きなんでしょ。Aのこと。じゃあ間違っていないじゃん」
「別に好きじゃない」
「どうだか〜」
俺があいつのことを好き? 応援馬鹿で、声がでかくて目障りなだけなのに。
「知ってるよ。いつも試合の時にAを探していたり、いなかったらずっと試合に集中できないの」
「俺が佐原に振り回されているって言いたいの?」
「違うって! 二人して鈍感だなぁ」
好きだなんてありえない。
ただ、応援しているあいつが、嬉しそうだから目が合ってしまうんだ。それだけ。
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