さくさくの恋。 ページ5
Aside
「あっ！」
「どうしたんですか？ 部長」
応援部は次の春高に向けての練習をしていた。
練習終わり、自分のカバンの中身を見て筆箱が入っていないことに気づく。
おそらく急いで部活に向かわなければと思ったから、机の中に入れっぱなしになっている。
「職員室がそろそろ閉まっちゃうな……ちょっといってくる！」
職員室に向かうと、鍵はまだ返却されていなかったので教室に向かう。
「……！ …………ください！」
よかった、教室に誰かいるな。
走って向かい、自分の教室の扉をがらりと勢い良く開けた。
「ごめんけど、俺好きな人いるから」
そこにいたのは同じクラスの女子生徒と、さくさくだった。
女の子は顔を真っ赤にしてばたばたと慌てて出ていき、私とさくさくは二人きりになってしまった。
幼馴染が告白されるという、とんでもないところを見てしまった……。
「……なんでここにいるの」
「わ、忘れ物をしたのを思い出して。教室が閉められる前に行こうと……」
さくさくの格好はジャージ。
多分だけどさくさくも部活終わりだったんだ。凄いものを聞いてしまった。
というか、それよりもだ。
「それよりもさくさく！ お前好きな人がいるのか！」
「！」
聞いてしまったからには気になって仕方がない。うんうん、と私は頷く。
「そうか……全人類滅びろというような目で見ていたさくさくにも好きな人が……」
「はぁ？」
「任せて！ さくさくの恋は私が応援する！」
「あ、もちろん内緒にするよ」と付け足し自分の机の中に入っていた筆箱を取った。
「それじゃあ！」
「おい……！」
職員室もそうだが、部室も閉められてしまう。
そうか……さくさくに好きな人が！ さくさくを応援してやらねば！！
──ズキン。
「……？」
走りすぎたかな。心臓を落ち着かせるために私は早歩きで戻ることにした。
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