いるのは必然。 ページ4
第一印象は馴れ馴れしいお節介ばかりだった。
「さくさく、一緒にレシーブやろ！」
「古森とやるからいい」
「じゃあ三人でやろ！ 古森ー！」
「……」
男子のバレーの試合の際は必ず駆けつけて応援をしていた。
「頑張れさくさくー！！ 古森ー！！」
「あそこの女の子はよく声が通るねぇ」
そんなことを周りから言われたときはボールを投げてやろうと思った。
家が近かったということもあり、よく三人のうちの誰かの家に遊びに行っていた。
「こんちはー！ さくさく、何してるの？」
「パズル。邪魔しないで」
「じゃあ応援してる！ 頑張れー！ さくさく！ 負けるなさくさく！」
「……」
この時から何かと応援に拘っていた。
「私は二人よりも早くバレーはしていたけど、上手だったわけじゃない。
私ができないことを二人ができるなら、応援する！」
テレビでどこかの応援団の映像を見てから、佐原は何かと応援にこだわっている。
それを煩わしいと思ったのは何百回もあるけど、それは止むことはなかった。
中学に上がるときも。
「私はバレー辞めちゃうけど、応援は絶対行くね！」
「ありがとうA〜」
チア部に入って試合に応援に来る回数はめっきり減ったけど、来れる試合は必ず来ていた。
たとえそれが一人だとしても応援を続ける。
ただの練習試合でも、たとえ負けそうな試合でも、佐原は常にいた。
声が枯れても、誰もが諦めても彼女が諦めることがなかった。
「フレーフレー佐久早！ 頑張れー！！」
俺たちの試合には、彼女がいるのは必然だった。
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