応援するのは君の心！【佐久早聖臣】 (ページ13)

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静かすぎて。ページ13

試合を見ている間、Aはいつもより静かだ。

応援しているわけじゃないから、そりゃそうなんだけど、なんというか変な感じがする。

じっと見ていると目線に気づいたのか、こっちに「ん？」と尋ねてきた。

「いや……静かすぎて怖いなって」

「さすがに私だって他の人の試合は静かにみるよ！」

まぁ、そりゃあ騒いでいたら非常識だからな。

「お前の声はよく届くからな」

マスク越しにフッと笑うと、そんな様子を見ていたAが笑う。

笑ったの、気づかれていないはず。

「……今日の応援、ちゃんと届いた？」

「……心には」

「ほんと？よかった。……私、さくさくの恋も、これからのバレーも応援しているから」

「！」

なんでそんなこと言うんだよ。なんで……そんな悲しそうな顔をするんだ。

否定を、しなきゃいけないのに。

すると、ピーッ！と試合終了のホイッスルが鳴る。

梟谷と一林との試合。勝者は一林だった。俺はボードを確認してAの手を取る。

「あっどうしたのさくさく！？」

「人、混む前に移動するぞ」

　
「う、うん」

すでに立ち上がって移動している人が廊下にたくさんいた。

閉会式も随分先だし、ここで帰る人も多い。人波を避けて、Aの腕をしっかり持った。