純 情 恋 愛 。【澤村大地】

絶叫 ページ7

チケットを２枚もらい、遊園地のゲートをくぐれば、そこはもう別世界だった。

小さい子供たちがはしゃいだり、カップルが手をつないで歩いたり……うん、俺たちもカップルなんだけどな。



「立木、最初はどこに行きたい？」


「澤村君が行きたいところであれば、どこへでも」



うーん、これはなかなか先に進まないやつだ。

とりあえず、ここのおすすめポイントは……。



「ジェットコースターに乗るか」



　




　




「う、うおおおお！！」


「…………」



絶叫系に乗っているときでも、立木は全然無表情だった。

叫ばないから、気絶でもしているのかと思ったけど全然違う。

終わった後、ぼさぼさの髪を手櫛で直している立木。

うーん、無表情で分かりにくい。



「ど、どうだった？」



これでつまんなかったですとか言われたらどうしよう……。



「とても楽しかったです！なるほど、ああいう建物にぶつかるようでぶつからない感じがスリルでいいですね……わざと上下することによって、より恐怖感を与えるのですね」



ブツブツとつぶやいている彼女に、俺はぽかんとしてしまう。

しばらくした後、彼女はハッとした。



「すみません。実は私絶叫系が大好きなんです」


「えっ！好きなの！？てっきり俺は、苦手なのかと……」


「あの時はジェットコースターの構造と落ちる回数などを数えていました。

……実は私、遊園地で働きたいと思っていまして」



立木は少し照れながら、そういった。可愛い。

「変ですよね」と立木はしょげる。



「全然そんなことない！そうだったのか。だから楽しみにしていたんだな。

そうやって、ちゃんと将来の目標があることって、凄いことだと思うよ」



俺がそう言うと、立木は目を丸くさせて「ありがとうございます」といった。



「ジェットコースターの設計とかにすごく興味があるんです。だから今日は連れてきてくださりありがとうございました」


「うーん、まだ帰らないけどな」


「そうですね……あの、もう一度乗ってもいいですか？」


「あぁ、いいぞ」



こんなに彼女の目が輝いているのは、初めてだ。

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