純 情 恋 愛 。【澤村大地】

花壇 ページ2

水道の水をじっと見つめ、満タンになる前にキュ、と勢いよく止めた。



「花壇の花に水をあげる量は、1L丁度でいいでしょう。明日は気温が21度、湿度は41%、気温は晴れのち曇りのようですから」


「了解」



こんな彼女、めんどくさいのでは？と思ったやつもいるだろう。

そもそも、なぜ彼女と付き合うことになったのか説明させてもらう。あ、強制だからな？

知り合ったのは1年生の時の委員会。たまたま余っていた委員会が美化委員会しかなかったため、仕方なく入った。

その時の委員集会でペアになって毎日中庭の花に水をあげるということになった。

そしてペアになったのが、立木というわけだ。

一年生は無理やりくじだったのだが、きっと俺の運はそこで使い果たしたのだろう。

一言、二言交わすうちに、自然と仲良くなった。

ある時は部活のことを相談したり、勉強のことや進路の話、最近あった面白い話などもした。

だけど、付き合い始めたのは3年になったとき……つい最近だ。



「俺と、付き合ってほしい」



遠回しに言うよりかはまっすぐ伝えようと思って、委員の仕事が終わった帰りに告白した。

すると彼女はいつも以上に優しく微笑み、「こちらこそ」と言ってくれたのだ。



「澤村君、右から2番目の白いパンジーの花に水が届いていませんよ」


「あ、悪い」



つい最近付き合ったのだから、キスなんてしていない。

……それよりも、手をつないだこともないし、なにしろ付きあう前と現状が変わらないことが最近問題だ。

昼休み終了のチャイムが鳴り響く。

あぁ、またうまくいかなかった……。

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