ん。２【音駒】

ん。 ページ43

「うーん、やっぱ眼鏡君さ、読みはいいんだけどこう……弱弱しいんだよなブロックが！

腕とかぽっきり折れそうで心配になる。

ガッ！と止めないとガッ！と！」


「僕まだ若くて発展途上なんですよ。筋力も身長もまだまだこれからなんで」



確かに、木兎よりも身長はでかい。

でも、それはただの反論に過ぎない。

ここで煽りの黒尾さんが出ようか。



「悠長なこと言ってると、あのちびちゃんにいいとこ全部持ってかれんじゃねーの？

同じポジションだろー」


「……」



眼鏡君は黙った後、フハッと自嘲するように笑った。



「それは仕方ないんじゃないですかね〜日向と僕じゃ元の才能が違いますからね〜」


「？」



なんだ、この引っかかる感じ。

もう勝てないとあきらめているような。



「あっ、またスパイク練習ですか！？

俺ブロックやります！？やります！？」


「おいリエーフ転がってんじゃねぇレシーブ！」


「げっ！夜久さん……！」


「げってなんだ！」



別のところで練習していた犬岡や夜久が来てくれた。



「じゃあ僕、お役御免っぽいんで失礼します」


「あっおい」



足早に去っていく眼鏡君。

うーん、失敗か。



「なんか……地雷踏んだんじゃないすか黒尾さん」


「怒らしたー大失敗じゃん挑発上手の黒尾君」


「いや……だって思わないだろ。

烏野のちびちゃんは確かに得体が知れないし脅威だけど、技術も経験もひよこだろ？

それにあの身長だし……それをあの身長も頭脳も持ち合わせてる眼鏡君が、ちびちゃんを対等どころか、敵わない存在としてみてるなんてさ」


『月は、100点を取ろうとしない』


「「！？」」



突然横に現れたAが、ぽそっと言う。



『抜かされても、別に自分が70点合格ラインだったらいい、みたいな』


「……なるほどな」


「Aが……喋った！」


「すごいですね……初めて聞きました」


『ん』



Aが喋ったのを聞いた木兎と赤葦、それに今入ってきた音駒メンバーはびっくりしている。



「……明日謝りにいこう」


『ん』



Aも、頷いてくれた。

ん！→←ん……

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