白鳥のオネエ。３【白鳥沢】

今も昔も。 ページ41

「A！」


『オッケー！』



練習試合、烏野と。

昨日の喧嘩はどこに行ったのか、英太ちゃんとアタシの息はぴったり……。



『ちょっと！低すぎるわよ！もうちょっと高くして頂戴！』


「文句言うな！いつも通りあげた！」


『あらぁ？ばてちゃっているんじゃないの？』


「そっちだって、メイク崩れかけているぞ！」


『キャー！嫌だわもう！鍛治くんタイム〜！』


「うるせえおまえら！！」



昨日の倍くらい、白鳥沢は煩い。



「文句言いながら、瀬見さんは小野さんに上げているし、小野さんはブロックアウトが上手い。」


「なんだかんだ、全然大丈夫ってこと？」


「そういうこと。」



ベンチにいる2年生がそんな会話をしていたとも知らなかったわ。



「落ち着け！相手も人間だ、必ず隙はある！」


「「はい！」」



英太ちゃんのサーブ。

相変わらず真っ直ぐ、強烈だ。



「俺が取る！」


「サンキュー西谷！」



むっ、あそこのリベロなかなかやるわね……！



『ブロック！覚ちゃん！』


「っしゃー！あ、ワンチ！」



覚ちゃんがワンタッチだなんて、珍しいわね……。

まぁいいわ、チャンスボールよ！

今は若利不在のローテーション。

今この場で動けるのは、アタシと獅音、工ちゃん。



『英太ちゃん、今度こそ！』


「わぁってる！」



真っ直ぐ、山なりのトス。









『英太君、頼む！』


「おう！いけ、A！」









変わらないわね……今も。



『っしゃあ！！』



私の強烈スパイクは、コートに落ちた。

セット終了、ね。



「…A。」


『ふん、今のはなかなかよ。』



二人、片手をあげて、パンッ！と手を合わせた。

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