俺んちの黒猫。２【黒尾鉄朗】

食欲と睡眠欲。 ページ11

「ごんのすけー。」



家に帰り、寝ていると、鉄朗がいつの間にか帰ってきた。



「今日は母さんが秋刀魚にするってさ。」



秋刀魚か…今日は食欲がわかないな…。

秋刀魚は嬉しいが、少し疲れてしまった。



「…ごんのすけ？」



私はまた寝てしまった。




　









　







「ごんのすけ〜。」



目をまた覚ますと、鉄朗の膝の上。

少ししっとりとした手で撫でてくるので、なんだと思うと、鉄朗はもうすでに風呂から上がった後だった。

しまった…ご飯を食べていない。

急いで起き上がり、ご飯を食べる。

しかし、食欲があまりにもないので途中でやめた。



「ごんのすけー、食べないと大きくならないぞ？」



いや、私はもう大きくなれないのだが…。



「また寝るか？」


「なー。」


「そうかそうか。今日は俺が運んでやるぞ！」



ニシシ、といつものように笑う鉄朗を見て、私はため息をつく。

脇を抱えられて抱っこされる。

しなやかな筋肉。大きくごつごつとした温かい手。

小さい時のひょろ細い腕とは違い、たくましくなったものだ。



「ごんのすけ、ねんねしててな〜。俺はちょっと勉強するから。」



誰に向かっていっているんだおばあちゃんになる猫にねんねなど。

軽く頭を撫でた後、鉄朗は蛍光灯の薄暗い灯りの中で難しい顔をしながら勉強をし始める。

…あぁ、中学の時と同じ、ちょっと私の好きではない顔だ。

私は先ほどまで寝ていたので、さほど眠くはない。鉄朗がうつらうつらと舟をこいでいたところで鳴いて、起こすという仕事があるからだ。



「っだ〜！終わった…あれ、ごんのすけまだ起きていたのか？」



当たり前だ。お前と寝るときはいつも一緒だろ。



「よしよし、明日も早いから寝ような〜。あ、そういえばよ、夜久がな…。」



またいつものような、夜。

そして、またいつものような朝が来ると思っていた。

私は、彼は。→←大将の願い。

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