336 ページ3
しかし、横からまっすぐで勇ましい声がした。
「誰が来たって、力でねじ伏せればいいだけです!」
工君がぐん!と胸を張ってそう答える。
「大口はもっと実力つけてから叩けよ」
「!」
隣にいた賢二郎君に淡々と突っ込まれ、工君がムッとする。
険悪になりそうな雰囲気に覚君が笑顔で割って入った。
「まあまあまあ!相変わらずいうことと前髪がかっこいいね、工は!」
褒められぱっつん前髪の工君はむっとしていたことなど即座に忘れ、嬉しそうに姿勢を正す。
「ありがとうございます!!」
でもそんな覚君に太一君が忠告をする。
「そうやって甘やかすの良くないと思いますよ」
「固っ!太一固いよ!!」
覚君は困ったような笑顔でそう言うと、後ろから工君の両肩を掴んだ。
「期待してんだよ〜!なんたって一年で、うちのレギュラーで、エースになる男なんだからー!」
普段通りの軽い口調は、どこかからかうように見えなくもないけど、
「エース」という単語は真面目で熱血な工君とセンサーに引っかかった。
「期待に応えます!!うおおおおお!!!」
熱く燃え上がる工君。焚火どころかキャンプファイヤー並みだ。
素直な工君をほほえましく三年生は見守る。
「そーねー、頑張れ未来のエース」
英太君の言葉に賢二郎君が冷静に言う。
「つけあがるからやめてください」
まるで孫を甘やかす祖父母を注意する親のようだ。
今甘やかしている三年生がいなくなったら、工君は大丈夫だろうか……。
もう一言くらい声をかけてやろうかと思ったけど、これ以上熱くなって暴走したら大変だからこんなもんでいいだろう。
「……Aさんって、よく周りを見てますよね」
「えっ、急になに太一君」
「いや……こっちの独り言っす」
「?」
そこへコイントスを済ませた若利君が戻ってくる。
「先、レシーブだ」
「若利君、今日も頼むよ〜」
若利君にも軽い調子で声をかける覚君に、今度は獅音君が注意する。
「お前が頑張んなさいよ。若利だけに頼るんじゃない」
「右腕かよ、弁慶かよ〜」
覚君はにやりと突っ込んだ。
2547人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さつち - 最近読み始めてほんとに一気に読んでしまいました。続きが上がること願ってます。 (3月4日 19時) (レス) @page34 id: c754d1835b (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 一気に読んじゃいました。めちゃくちゃ好きです。続き待ってます!!! (10月1日 1時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
タク(プロフ) - 若利可愛い、、、将来のとこまで書いて欲しい‼️ (9月23日 16時) (レス) id: fe72dbe904 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月29日 23時) (レス) @page34 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
いすだ(プロフ) - mooさん» コメントありがとうございます!若利君はここでは夢主に対して大きな子供(もとい赤ちゃんw)として書いていますので、いとおしさを感じていただけて何よりです^^長い作品になりますが、これからも読んでいただければ幸いです。 (7月20日 10時) (レス) id: b562ecc021 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ