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「ただい……っ…何この暑さ!」
真夏の残業は体力勝負だ。
環境省の提唱だか何だか知らないが、右倣え
の節電対策のせいで夜7時にはオフィスの空調
はピタリと止まってしまう。
低速思考のまま長時間パソコンと格闘し、
ようやく家路に着いたわたし。
"今夜も寝苦しい夜となるでしょう"
うだるような暑さの中、
涼みを求めて帰ってきたというのに…
玄関扉を開けた途端襲いかかってきた熱い空
気に息が詰まりそうになった。
「エアコンくらいつけなさい!」
床に転がったままのリモコンを拾い上げ声を
荒げる。
蝉「………」
するとそこには
左耳をおさえ、視線を一点に据える彼が。
「また鳴ってるの? ……耳」
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作者名:知夏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/972e809caf1/
作成日時:2016年3月18日 23時