反社会的ユメノクニ。| Ryosuke.Y (ページ12)

今日:46 hit、昨日:26 hit、合計:768,356 hit

3 ページ12

・

蝉「今日は？」

「うん。……安全日だから大丈夫」

医学的な根拠もないこの会話は、
彼を生で受け入れるための合図だった。

それが彼の望みであるならば、叶えてあげる
ことがわたしの喜びであり、何よりお互いが
求める……

"快"。
だから『防膜』なんて必要なかった。

筋肉の層が幾重にも重なる腕に太ももを抱え
上げられ宙に揺れるカラダ。
壁に打ちつけられ身動きを奪われると、下か
らの突き上げに嬌声を響かせるわたしを彼は
ひたすら満足げに眺める…

それが、
わたしたちの"戯れ"だった。

＊＊＊

バスッ

体をベッドに放り投げられ、息つく間もなく
覆いかぶさる鋭い眼差し。
数センチまで近づいた顔、美貌に狂気を重ね
たような言葉にしがたい表情がわたしの全身
を品定めする。

今夏、
彼が奪った命は何人に及ぶのだろう。

死ぬ間際、
その人たちは彼の目を見て何を思ったのか。

そして彼は、
命乞いするヒトを前にどんな感情を抱いたの
だろう。

「………」

蝉が自分側の人間で本当に良かった。

行為の最中、
彼の闇に触れるたびにわたしはいつも同じこ
とを思った。

・