救出 ページ7
流血表現あり
◇
赤く禍々しいオーラを纏う巨体の歴史修正主義者。
そしてA光忠の力で強化されたと思われる歴史修正主義者がぞろぞろと並ぶ。
先行していた一期と実休に追いついた四人は、背中を預け合うように隊列を組み、刀を構え、打ち倒す準備を整える。
「鬼丸さん、第一部隊に伝令を。我々第二部隊、敵の主力と接敵。撃破する、と」
「あいわかった。」
部隊長の平野が鬼丸国綱に告げる。
伝令を伝えられた鬼丸国綱は、懐から伝令用の式神を取り出すと、自身の霊力を使って飛ばした。
「同胞をこんなになるまで利用して…。きっと人の心はないのですね…。」
「ええ。慈悲は要らないでしょう。これが自分の兄弟であったなら、きっと自分を保っていられない」
そう言って一期は、光忠兄弟の様子をうかがう。
自分と一足先に見ていた実休はともかくとして、A光忠の相貌を見た福島と燭台切は、構えた刀を強い力で握りしめていた。
光忠最高の作、皇室御物であるA光忠は、歴史敢行軍に刀剣男士の力の源である霊力を吸われ、今にも崩れ落ちそうであった。
腰まであった夜空色の髪は肩の辺りでばらばらに切り刻まれ、長船の装束は破壊され、残った真っ白なシャツは血の色で滲んでいた。ところどころ見える白い肌には切り傷が見える。
きっと、兄弟は独りで戦ったのだろう。しかし、それを歴史修正主義者は多勢で追いやり、抵抗する兄弟を捩じ伏せた。それも光忠兄弟の怒りをさらに煽った。
「よくも、よくも兄さんをこんな目に！ 光忠の名にかけて、絶対に許さない…！」
ぼろぼろのA光忠を目にした燭台切は激昂して叫ぶ。
「Aの苦しみを倍にして味わわせてやる…！後悔しても遅いぞ！」
福島も刀を構え、敵を威嚇する。
「…首を貰うよ」
実休の紫の瞳に、焔が燃える。
六振りの刃が歴史敢行軍に牙を剥いた。
◇
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作者名：みといそ | 作成日時：2024年2月6日 0時
