正体 ページ3
◇
審神者は三人から事情を聞くと、眉を顰めてしばし考え込んだ。
近侍を通して他の刀剣にも確認を取ったが、異常が起きているのは光忠の刀剣三振りだけで、他の刀剣は健常だという。
他の長船派にも異常はなく、異常が起きているのは“光忠”の刀剣、というところに審神者は引っ掛かりを感じた。
そして、三振りが言う、力が吸われる、という感覚。
「もしかして、刀剣の力を奪って、強化を…？」
「それならあの異常な強さに納得がいきます。刀剣男士の力を奪って自身を強化するなんて…」
あの異常な強さは、刀剣男士の力を奪っていたため…。
しかし、審神者の疑念は解けない。なぜ、“光忠”の刀剣なのか。
「徳川家光の時代の皇族と君たちは何か関係があるのか？」
「いいや、僕たちは………待ってくれ、そしたら、」
実休は気づきたくなかった事実に手を握りしめた。
「もしかしたら、兄弟が、苦しめられている。」
その言葉に、燭台切と福島も目を見開いて言葉を発した。
「…そういうことか」
「まさか、…嘘だよね……？」
「光忠で御物だったのは、Aしかいない。Aは、天皇の守刀だったから」
初めて聞く名前に、審神者は三振りの話に耳を済ませた。
「A兄さんが、……！」
「きっと、苦しんでいる。それも、僕たちの非にならないくらいの苦しみを、…」
「Aの力を利用しているのか、あいつら…！」
福島は拳を強く床に叩きつけた。
「福島兄さん…」
「だからこれは、僕たちに向けての報せなのかもしれない」
「主くん、A光忠は、僕たちの大切な兄弟なんだ…！助けなくちゃ……！」
燭台切は縋るような目で審神者を見る。
審神者は頷いて、三振りに告げた。
「君たちの兄弟はきっと関係している。助けるためにも、出陣を急ごう。でも、一振りであれだけの歴史修正主義者を強化してるなら、急がないと…」
存在が消失してしまう
その言葉に三振りは拳を握りしめた。
◇
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作者名：みといそ | 作成日時：2024年2月6日 0時
