混ざる ページ17
◇
「…僕だって兄さんに口吸いしたい。実休さんそこを退いて」
「…だめ。だって、Aが足りていないから」
「足りてないのは俺達だって一緒だよ！」
がやがやと騒ぎ出す三人。
Aは口付けされた唇を抑えて、ぼんやりと三人を見た。
違いはあれど、みな自分の愛しい兄弟。
織田で過ごした和やかな時間を思い出し、Aはふふっと笑いをこぼした。
「もう！ふぁーすときすは僕が狙ってたのに！」
「？ Aの初めてはみんな僕だよ？」
「無自覚に煽るな、実休！」
『織田の頃、寝る前にいつも兄弟にはしていただろう？ だから初めてもないな』
「…兄さんは兄さんだよねほんと…」
燭台切が呆れながら、Aを見て、ある変化に気がつく。
「兄さん、瞳が…？」
Aは不思議そうに瞬きをする。
実休と福島もAの顔をのぞき込む。
元々黒と同じくらい濃い紫色だったAの瞳は、実休と同じくらいの紫色に、福島の赤、燭台切の琥珀が重なった不思議な色合いに変化していた。
「…これはこれでいいな」
「これで威張れないね、実休さん」
実休は平気そうな顔して笑った。
「僕はこの色が好きだよ。もっと、僕みたいで」
『瞳に何かあるのか？』
「いや、悪いことじゃない。Aの瞳は元々真夜中の星空みたいだったが、今は、朝焼けと夕暮れと夜が混じりあったみたいで、……すごく綺麗だ」
福島はそう言って、Aの目のそばをなぞった。
『気に入ってくれるなら私は何色でもいい。でもあとでゆっくり見てみたいな』
「うん。」
しばらくたわいもない話に花を咲かせたあと、Aの身体を慮って、三人はAに色々言い含めて、部屋を後にした。
「何かあったら絶対僕たちを呼ぶんだよ！ 兄さんの声が聞こえたら僕飛んで行くから」
「むしろ叩き起すくらいの声で呼んでくれ。夜中でも遠慮はいらない」
「身体に異常があったらすぐに教えて。」
『ああ。わかった。』
過保護な兄弟にAは笑みを零すと、三人を見上げて言った。
『……明日も会いに来てくれるか』
「「もちろん」」
『またあした、兄弟』
明日を兄弟と迎えられるなんて思わなかった
眠るのがこんなに惜しいとは
そんなことを思いながら、Aの身体はあっという間に沈んでいった。
◇
説明パート終了です(長)
あとはひたすらいちゃこらしてるだけの物語にシフトします〜お待たせしました
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作者名：みといそ | 作成日時：2024年2月6日 0時
