【刀剣乱舞】光忠兄弟の唯一【男主】 (ページ13)

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光忠の唯一ページ13

◇

三人の力を放出させる。
特殊な札と道具を使って、審神者はそれを集めてA光忠に集めた。

光が瞬いて、A光忠に注ぎ込まれていく。

「兄さん、全部あげるよ……！ほら、受け取って！」

大きな力の奔流が部屋を包み込んだ。

ー
A光忠

長い夢を見ていた。

それは私の刃生を旅する夢。

鎌倉で生まれた私は、父から鎌倉幕府へと献上された。
最初の主に振るわれた私は初めての血の味を知って、たくさんのひとを切り裂いた。人々は光忠の斬れ味に戦き、やがてそれは「光忠の刀はよく斬れる」との噂になって、色んな武士の元へ届いた。

一番楽しかったのは、織田の時代。
父を同じくした刀たちがたくさん集い、それぞれの理由で、主に仕えるために散っていた。
しかし、天下とは儚きもの。
本能寺での焔は、兄弟を連れた苛烈な天下人を天へと連れ去った。

刃生の果て、たどり着いたのはこの国の皇の元。

光忠の名だけで、ここまで来た。

最初は恨むこともあったが、この時になると、もうそんな思いは消えて、自分の在り方を静かに見つめ直した。

自分が消えても、この身に刻んだ名前が消えないように。そして、同じ名前を刻んだ刀たちが、相応しい主を得て、大切にされますように。

“A”

この名前はもう誰にも呼ばれることは無いけれど、心の中の兄弟がいつでもその名を読んでくれるから寂しくはない。

それは私の志しで、

それは私の願いで、

それは私の唯一

私を示した【光忠】がいつまでも在るように。

◇