59 ページ9
「Aの気持ち、聞きたいんだけど。」
…来た。
さっきからずっと、これを聞かれるのが怖かったんだ。
だから、
「…わかんない。」
って言ったら、
「は？何それ。」
高嗣は不満げな声を出すけど、抱き留めてる腕の力は緩めてくれない。
高嗣の鼓動の音が心地よくて、目を閉じたまま、
そして私は、核心に触れる。
「だって、高嗣は薫さんと付き合ってるじゃん。」
高嗣はゆっくりと私の体を引き離すと、私の顔を覗き込む。
「…薫さんとは、ちゃんと終わりにするから。」
至近距離で目が合って、
高嗣の顔、こんなに近くで見たのっていつぶりだろうって思ったら、思わず手が伸びてしまった。
頬に触って、眉のラインをなぞって、鼻の頭を突ついて、唇に指を乗せたら、
「A、遊んでる？
ちゃんと俺の話聞けよ。」
って、むすっとした声で言うけど、目が笑っちゃってるよ。
「嫌じゃないの？こんなに触られて。」
「…嫌じゃない。」
「じゃあ、こうされたら？」
私の目の前に腰を下ろした高嗣の、その首に両腕を絡ませて、深く抱きついた。
ぎゅーって、しがみつくように。
さすがに嫌でしょ。
高嗣、ベタベタしたりイチャつくの嫌だって、前に言ってたし。
「…嫌じゃない。
なんか、うれしいし。
ドキドキする。」
あーあ、高嗣、もうほんとに私のこと好きになってんじゃん。
どうしよう。
首に回した腕を解いたら、やっぱり高嗣はそんな私のことを逃がさないように、ぎゅっと抱き締めてくる。
さっきと違って、同じ高さで抱き合ってるから、さっきよりちょっと、ドキドキするね。
「Aのことが好き。
Aが俺のことを好きじゃなくても、Aが好き。」
高嗣の肩にちょこんと顎を乗せたら、ふわっと高嗣の香りがして、思わず目を細めた。
この香り、好き。
「だから、俺の傍にいて。」
「私、普通の恋愛がしたいんだ。
大事にしてもらって、デートしたり、イベントとかもちゃんとやってくれる人がいい。
…高嗣、そういうのできないじゃん。」
「やるって。
Aがそうしてほしいなら。」
高嗣の声がだんだん柔らかく、甘くなっていく。
「でも、教えてよ？
俺、そういうのわかんねーし。」
だけど急に、部屋のドアが開けられて、
ペットボトルを持ったおばちゃんが入って来て。
抱き合ってる私達の姿を見て、目を丸くして驚いてる。
驚いて、私達もパッと離れるけど。
「…あんた達、何してんの！？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - ライラさん» まさかのみっくんの、「ごめんガチで早く寝て」でキュン死にしてもらえるとは!!!感無量です、ありがとうございます(*^-^*) (2016年11月6日 23時) (
レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ライラ(プロフ) - ごめんガチで早く寝てくんね？のみっくんにキュン死に〜( *´艸)ちょこちょこでてくるみっくんにやられっぱなしです(*｀▽´*) (2016年11月6日 18時) (レス) id: db3aa51c9f (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - はるかさん» 高嗣さん、ちょっと今までない強引ぶりを出してみました。つか、こんな高嗣さんが見てみたいという願望からｗｗｗ高嗣はやる時にはやる男です(*^-^*) (2016年11月6日 17時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はぁ、ヤバイヤバイ高嗣がステキすぎる。いい男すぎる。ここのところドキドキしっぱなしです。恋愛偏差値70ってすごいね。高嗣にはその素質があったんだよ、きっと…。主人公ちゃんが開眼させたのね。ふふふ(*^^*) 続き楽しみです。 (2016年11月5日 16時) (レス) id: 82790df662 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - まなさん» 邪魔させちゃいましたーwww毎日しつこく更新してるのに、読んでいただいてありがたいです(´∇｀)これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年11月4日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2016年10月13日 0時
